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ピノキオのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ピノキオ(2016年製作のドラマ)
4.4
こんなキラキラシャボン玉の写真に加工されてますけど、報道とは、記者とは、正義とはを様々な縁から描いた社会派ドラマなんですよ。
めちゃくちゃ良かったです。
ええ加減この日本版のキラキラ仕様やめい!

同じくイジョンソク主演の「君の声が聞こえる」と同様にファンタジックな設定で、嘘をつくとしゃっくりが出てしまう「ピノキオ症候群」という架空の体質を持つ女性イナと、子どもの頃に工場爆発で出動した消防士の父がメディアから責任を問われ、世間から激しいバッシングを受けた事で家族が崩壊してしまった過去を持ち、偽名を使ってこれまでの人生を隠して生きてきた男性を取り巻く物語です。

報道の仕方によっては、人生を狂わされる人が出たり、一方で救われる人もいて、その力はあまりにも大きいため、誠実さや正確さが求められますが、視聴率至上主義に陥ると、正しさよりもセンセーショナルな方を重視されたり、不正や悪から目を逸らさせるために誰かがスケープゴートにされたり、メディアが権力に利用されてしまう危うさが丁寧に描かれ、その狭間で葛藤し苦悩する記者達の奮闘がとても熱くスリリングです。

報道被害に遭って人生を狂わされ、全く別人として生きざるを得なかったダルポが、憎んできた記者の世界に自ら飛び込み、事件の真相を追いつつ、自分や家族を追い詰めた記者の娘であるイナに対する複雑な感情や、この2人に立ちはだかる壁をどう乗り越えていくのかも見どころでした。

若い記者達が、真っ直ぐに正しさを追求し成長していくのも感動的です。
もちろん韓国らしい親子の愛憎や兄弟の絆にも泣かされます。

重いテーマでありながら、ちょうど良い塩梅のコメディ味があり、見やすくて物語にぐいぐい引き込まれました。

高校生時代のダルポの髪がボッサボサで、いくら天下のイジョンソクがやってもこれはヒドイ…という感じがあり、どうなる事かと思いましたが、それも気にならなくなるくらい。
というか、記者になってから髪を切りスーツを来た時のギャップに悶えるための仕掛けやったんやと思います。
あそこでまずイジョンソクにやられましたね。

イナも母親が愛する人の人生を奪った張本人だと知って苦しみますが、それでも憎みきれない複雑な感情を抱きつつ、でも真実を追い求める強さがとても素敵でした。

同期の記者仲間のボムジョにも泣かされるし、ほんとにみんなが愛せるキャラで隙がなかったです。

あとキムヘスクさんがまた、デパートを経営する会長なんですけど、息子を溺愛するセレブでゴージャスなのに、最後のノーメイクがすごい。
役者魂を感じました。
ちょうど先日見終わった「スタートアップ」ではあったかみのあるハルモニを演じてましたが、今作では全く違った印象でした。

それにしてもイジョンソクのすべすべ白肌とぷっくりピンクの唇は一体何ごとでしょうか。
テコンドーの飛び蹴りも炸裂し素晴らしかったです。

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