【第72回アカデミー賞 主演女優賞受賞】
リメイク版『キャリー』のキンバリー・ピアース監督の長編デビュー作。ヒラリー・スワンクとクロエ・セヴィニーが演技賞を総ナメにし、アカデミー賞でも両者ともノミネート、スワンクが主演女優賞を受賞した。
実在に起こったブランドン・ティーナ殺害事件を題材にした作品。ヒラリー・スワンクがトランスジェンダー男性のブランドン、クロエ・セヴィニーが彼を最後までかばい続ける恋人を演じた。
予想していた通りかなり辛い話だった。終盤ブランドンが脱がされるシーンからはもういちいち止めないと観られなかった。舞台は1993年のアメリカ南部ネブラスカ。まだLGBTQが「性同一性障害」とされていた時期であり、よりによって保守的な南部という。一番行っちゃいけない場所だよね。
オカマ野郎!と殴られていたのを助けたのがジョンとトムだったので当然知っていると思っていた。またラナもブランドンの胸をがっつりみていたので知っているとばかり。そういう描写があるのにジョンやトムは何も知らないというのはえ?と混乱した。単になよなよした男だと思っていたのか?
ヒラリー・スワンクは前半はナチュラルなティーンエイジャーという感じだったが、厳しい展開になってくると演技力を発揮する。あの切れ長の目がいいよね。
長編デビュー作ということで洗練されているかというとあまり。荒削りな部分がかなり多いという印象。同じく初長編でレズビアンを描いた『モンスター』パティ・ジェンキンスと比べても劣ると感じた。ガチャガチャした編集が気になり落ち着きがない。
音楽の使い方は独特でフレッシュな感じで悪くなかった。「ボーイズ・ドント・クライ」の曲のシーンやカラオケのシーンはよかった。
青春映画とサスペンス、マイノリティ要素を合わせて薄めたような感じ。ヒラリー・スワンクとクロエ・セヴィニーなど演技は素晴らしいが映画としてはイマイチ。