河豚川ポンズ

RRRの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーも画面の圧も俳優の顔も全部濃い目マシマシな映画。
カレーうどんの上にトンカツとオムレツとエビフライが乗ってきたような、要するに胸焼けするような余韻。
でもインド映画って時間が長くて、よく踊ってるやつでしょ?ぐらいの解像度の人は一度は絶対に見たほうがいいと思う。

インドの森林地帯の奥地、ある部族の少女マッリ(トゥウィンクル・シャルマ)が白人の女性の手に歌を歌いながら絵を描いていた。
そこに狩りから帰ってきた白人の男がやってくる。
彼はスコット・バクストン総督(レイ・スティーブンソン)、一帯を統治するイギリス軍のトップであり、妻のキャサリン(アリソン・ドゥーディ)とともにこの地域へやってきた。
キャサリンはマッリの歌と絵を気に入り、連れ去ろうとし、スコットは銀貨を投げ渡す。
マッリの母親は当然引き留めようとするが、抵抗も虚しくマッリの目の前で木の棍棒で殴りつけられ、マッリは連れ去られてしまう。
彼らはゴーント族という穏やかな暮らしを好む部族だったが、その中には“羊飼い”と呼ばれる番人のような存在がおり、仲間を守るためならどこまでも追いかけると呼ばれていた。
その“羊飼い”であるビーム(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)は、その言葉通りマッリを取り戻すためデリーまでやってきた。
しかし、そのデリーの警察には昇進に異常なまでに執念を燃やすラーマ(ラーム・チャラン)が、ビームを追うのだった。

まず皆さんは本作の監督S・S・ラージャマウリの「バーフバリ」シリーズや「マガディーラ 勇者転生」などの過去作を観たことがあるだろうか。
観たことがある人にはきっとよく分かるだろう。
そう、この映画も例に漏れず、勢いとテンションと熱量でとにかくなんやかんやで何とかしていく感じ。
いくらなんでも監督の個性が強すぎる気がするが、逆にここまで振り切れられるのも才能だと思う。
今までのシリーズよりも現代に近い1920年代でアクションも多め。
そして何よりモデルが実在の人物で……本当に?序盤でいきなり主人公が狼よりも走るの早かったよ?2人で基地一つ壊滅させられるぐらいなのに、これ実話ベースって言っていいの?
監督いわく、あくまで人物像と時代をベースにしただけで、もちろんこんなことは起こってないし、ここまでのことは起こってない。
そもそもモデルとなったラーマとビームは同郷というだけで会ったことはないということなので、その「もしも2人が出会っていたら?」というIFを大きく膨らませたストーリーとなっている。
膨らませる方向がちょっと思い切り過ぎな気がしないでもないが。
時代背景がイギリス統治から独立しようとしていた、まさに激動の時代。
そんな中で繰り広げられる、男二人の友情と信念のぶつかり合いはいくらなんでもベタすぎるだろ!!というぐらいに胸焼けするほど劇的でドラマティックな展開の連続。
ビームが鞭打ち受けるとことか「レ・ミゼラブル」かと思ったわ。
その割には罪人が超人レベルで破茶滅茶にタフすぎるけど。
そこにインド映画特有のキメキメのシーンカットが合わさることで、いかにもすぎて笑ってしまうほど画力がある。
なんかここは笑うところなのか、それとも真剣なシーンなのか、途中から全然分からなくなってくる。

アクションはとにかく発想がぶっ飛んでる、大の男2人が肩車して刑務所が脱走するとことか文面だけで意味が分からなさすぎる。
肩車でアクションしてるの「ワイルド・スピード EURO MISSION」以来ではという気がするし、どっちもテンション高めのアクション映画だし、もはやシンクロニシティ的な何かがそうさせてるのか?
そして、ラーマとビームの激突はとにかくくどいぐらいに火と水の対比が描写される。
本当にくどいくらいに。
しかもCGじゃなくて本当に火と水を使ってるという謎の徹底。
そこのリアリティいるのか?
そして最後は覚醒したラーマとビームが2人でイギリス軍の拠点と軍隊を壊滅させるという無双ぶり。
少年漫画でもなかなか無いコテコテの展開にこっちも終始ニコニコ。
その後も当たり前のように覚醒後の半裸状態で故郷に帰るラーマと、ダンスシーンに画面割きすぎててまるで読めないエンディングロールとかで笑ってしまう。
3時間みっちり要素タップリ、ツッコミどころ満載ながら、全然ダレない情報量の大洪水みたいなストーリーとアクション。
派手さも相まって映画館で観ないと後で後悔するだろうなというタイプの作品でした。