河豚川ポンズ

バズ・ライトイヤーの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)
3.5
アンディ、あの歳で渋い趣味してるなって映画。
特殊相対性理論によるウラシマ効果で歳を取るって設定が序盤の導入から使われている映画観て、バズ・ライトイヤーの人形が欲しいってなるの、SFオタクとしての素養が高すぎないか?

地球から遠く離れた宙域を進む大型宇宙船。
人類が居住可能な惑星を探査して進む船には、大勢のスペース・レンジャーがコールドスリープされている。
その道中、未知の惑星を発見したことで船のAIによってコールドスリープを解除されたバズ・ライトイヤー(クリス・エヴァンス)は、上官のアリーシャ・ホーソーン(ウゾ・アドゥーバ)、新人隊員のフェザリンガムスタン(ビル・ヘイダー)とともに調査に出る。
しかし原生の生命体に攻撃を受け、惑星からの脱出を試みるも失敗してしまい、宇宙船は墜落してしまう。
幸いコールドスリープされていたレンジャーたちに影響はなく、この惑星から脱出する方法を見つけるため、基地の設営を開始する。
1年後、船の燃料となるクリスタルのテストのため、バズは小型の宇宙船に乗り込む。
これまでの自分の失敗を挽回するため挑むバズだったが、超高速に到達するもエネルギーが安定せず不時着してしまった。
飛行時間はたったの4分間、しかし彼が戻ってきた惑星で経過した時間はウラシマ効果によりすでに4年以上が経っていた。

「トイ・ストーリー」での主人公の一人であったバズ・ライトイヤー、その玩具の元となった映画がどういったものなのかというところから着想を得た、トイ・ストーリーとしては初めての劇場長編スピンオフ。
アニメシリーズの「スペースレンジャー バズ・ライトイヤー」をちょこちょこ観ていた自分にとっては、ついに長編映画シリーズ化なのか!?と思って、ちょっと期待していたけど全然違った。
というか、めちゃくちゃシリアス。
ストーリーのテーマは「過去の自分の失敗と向き合うこと」、そりゃ重くなるわ。
自分の失敗によって(間接的とはいえ)親友を亡くしてしまい、新たな仲間も受け入れられず、意固地になってしまい、さらに余計に上手くいかない。
そんな中で敵との闘いの中で、失敗と向き合って自分を見つめ直し、仲間と協力して成長していくという流れ。
でも何か盛り上がりに欠ける気がする。
まあストーリー上ほとんどバズが孤独を抱えながら思い悩むのがほとんどだから、イジーたち次第だけどそれもあまり盛り上がらないというか…
個人的にアニメシリーズを想像していただけあって、そこでさらに少し肩透かしを食らった気分。
結局最初のテスト飛行のシーンが一番盛り上がったな。

個人的に一番嫌いな展開、味方チームが信じられないポンコツの寄せ集めパターンがこの映画でも出てくる。
イジーとダービーはそこまでだけど、モーは典型的なおとぼけキャラ。
ピンチを演出することに対してキャラクターがミスするということロジックは反対しないけど、どう考えても認知が歪んでるレベルのキャラクターが出てくるとさすがに嫌悪感がすごい。
ストーリー上、そうすることに必要性が認められるとかでない限り、そういうキャラクターを下げる描写ってのは受け入れ難い。

とにかく全体的にあと一歩足らないというか、本家本元の「トイ・ストーリー」とのリンクが薄い中でわざわざこれを公開する意味はあったのか?という意義がよく分からなかった。
次やるのか知らないけど、次こそはアニメシリーズみたいな明朗快活なスペースアドベンチャーが観てみたいかな。