河豚川ポンズ

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密の河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

もうダンブルドアが主人公で良いよって映画。
まあ実際一番見たかった話ではあるんだけど、それなら最初からもうちょい割り切ってほしい。

魔法使いによる世界の支配を目論むゲラート・グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)は、クリーデンス(エズラ・ミラー)を仲間に加え、着実に勢力を拡大していく。
そのグリンデルバルドと「血の誓い」を交わしたダンブルドアは、その誓いによってグリンデルバルドに手出しできずにいた。
そこで彼はかつての教え子であるニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)を筆頭に、イギリス闇祓い局局長でニュートの兄テセウス(カラム・ターナー)、防衛呪文を得意とする呪文学講師ユーラリー・ヒックス(ジェシカ・ウィリアムス)、テセウスの亡くなった婚約者リタの兄ユスフ・カーマ(ウィリアム・ナディラム)、ニュートの助手であるバンティ(ヴィクトリア・イェイツ)、そして度々騒動に巻き込まれる人間のジェイコブ(ダン・フォグラー)の6人が集められた。
実力も素性もバラバラな彼らを集めたダンブルドアの考える対グリンデルバルドの作戦とな一体?

予告編からしてダンブルドアの出番は多いんだろうなと思ってたら想像以上の割合だった。
いや、実際に画面に映ってる時間で言えばニュートとジェイコブが一番なんだろうけど、ニュートとか今回ほとんど話に関わって無くない?
キリンを保護して、マンティコアの監獄からテセウスを救出したぐらいで、キャラクターの内面とか心情の掘り下げが少なくて、これは果たして主人公なのか。
まあひとまず、今回の主人公はダンブルドアと割り切って見ることにしよう。
作者のインタビューでそれとなくダンブルドアとグリンデルバルドは恋愛関係にあったみたいなことは言われてたけど、初めからいきなりアクセル全開。
しかも血の誓いの描写がなかなかにそういうものが好きな人には刺さりそうな設定だったので、J・K・ローリングも日本に生まれていればきっと高名な同人作家になっていただろうと確信出来る。
まあそれはそれとして、ラストのダンブルドアとグリンデルバルドとの直接対決に向けて盛り上げていくのは、やっぱり見ている側としてもボルテージが上がっていくところ。
そこで副題のダンブルドアの秘密も大きく関わってくることなんだろうなと思いきや、まさかのアバーフォース・ダンブルドアの秘密だとは完全に予想外だった。
いや、大きい秘密なのは間違いないしクリーデンスのキャラクターに深くかかわるところだから外せないけど、アルバス・ダンブルドアとグリンデルバルドとの対決にはぶっちゃけ関係無いような気が…
自分はここに肩透かしを食らったような感覚があってちょっとダメだった。

そもそも1作でやりたいことが多すぎるような気がしないでもない。
ダンブルドアとグリンデルバルドとの対決、クリーデンスの出生の秘密、ニュートとテセウスの関係性の深堀、クイニーとユスフの離反と、登場人物が多い分ストーリーもとっ散らかってる印象。
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の頃から世界観と衣装やデザインは最高と褒め続けてきて、今回も世界中の魔法協会とかが見られて世界観の広がりが感じられて嬉しかった。
なのに、肝心のエンターテイメントとしてぼやけてるのは頂けない。

正直イマイチ感は否めないし、5部作構成のうちの4と5はまだ脚本すら存在していないという事実には「スター・ウォーズ」シリーズのシークエル・トリロジーの失敗具合が重なって仕方ない。
しかも今後の命運は現在企画中の「ハリー・ポッターと呪いの子」の実写化にかかってるとか何とか。
ただでさえジョニー・デップが裁判沙汰で降板して、エズラ・ミラーも騒動起こして逮捕されるしでロクなことが起こってないのに、せめてストーリーの作りこみはもう少し力を入れて頑張ってほしいもんなんだけどなあ…