河豚川ポンズ

シャン・チー/テン・リングスの伝説の河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

4.0
前半カンフーアクション、後半ドラゴンボールな映画。
何であれ、ハリウッドでお金のかかったカンフーアクション映画が見られることは良いこと。

サンフランシスコでホテルマンとして働くショーン(シム・リウ)は、同ホテルの駐車係で高校からの親友のケイティ(オークワフィナ)とともに家族ぐるみでにぎやかな生活を送っていた。
気ままに遊んで人生を満喫していた二人はある日、通勤中のバスでショーンが身に付けているペンダントを奪おうと突然襲われる。
何が何だか分からないケイティをよそにショーンは瞬く間に敵を倒し、危機を難なく乗り切るも、ペンダントは奪われてしまう。
そして、今までのショーンからは考えられない一面に何かを隠していると考えたケイティは、彼を問い詰める。
そこで彼は自分がサンフランシスコにやってきた過去、そしてシュー・シャン・チーという本名を明かすのだった。

「クレイジー・リッチ!」とか「フェアウェル」とか、アメリカ社会における中国系移民に焦点を当てた映画はここ5年くらいの流行りのイメージだけど、マーベルでも取り上げてきた。
偶然なのか何なのかオークワフィナは2作品どちらにも出ている。
オークワフィナ、トニー・レオン、ミシェル・ヨー以外は本当に知らない人ばっかりだったし、やはりハリウッドにはアジア系俳優が少ないことが原因なのか。
そういった中国色の強い映画だから、ストーリーも家族が大きなテーマ。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」も同じように家族がテーマで最後は父親と直接対決してたけど、こっちはそれに加えて家父長制の考え方が大きい。
いわゆる男尊女卑的な考えがウェンウーに強くあって、それをシャン・チーたちが打倒していくという構図はまさしく現代的。
監督のデスティン・ダニエル・クレットンは中国系ではないけども、しっかりとテーマをストーリーに落とし込んでててすごいなあと思っていた。
その後、他の監督作品見たら「ショート・ターム」「黒い司法 0%からの奇跡」と納得の経歴。
アクションとかではなく、丁寧な話づくりが得意な人なんですね。

今どきはCGでいくらでも迫力のあるアクションシーンを演出出来るにも関わらず、あえてバリバリのワイヤーアクションをやっていく根性。
トニー・レオンも「グランド・マスター」ぶりに見たけど、やはりアクションのスターの貫禄があってかっこいい。
というか「グランド・マスター」からもう10年近く経つことに驚愕してしまう。
本当にトニー・レオンは不老不死の力か何かをやってないとおかしいぐらいビジュアルが変わってない気がする。
アクションスターと言えばミシェル・ヨーもいいポジションのキャラクターでしたね。
最近ああいう役どころが多いせいか、モーガン・フリーマンみたいな使われ方してる。
前半はかなりしっかりとしたカンフーアクション映画としてまとまっていたか思えば、後半は清々しいほどにSFというか「ドラゴンボール」みたいな展開になってさらに驚き。
確かに指パッチンで全宇宙の生命の半数が消えるような世界でカンフーが強いって惹きが弱すぎるだろうとは思ってたけど。
でもアイデアに富んだアクションシーンが多くて見てて楽しかったし、この先のシリーズにも出てくるのが楽しみ。
どういう関わり方なのかは全く想像できないけど、MCUに新しい広がりを見せてくれそうだなあ。