140字プロレス鶴見辰吾ジラ

RRRの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.5
“キャラ萌え(燃え)の香辛料“

映画「RRR」今さら鑑賞。
2人の男と2つの約束の二重構造を闘いの「ロミオとジュリエット」のように隔たせたことで生じる2つの物語の強大(兄弟)な引力。長尺を細かく章分けし伏線と回収、次の場面への意味的な韻の踏ませぶりが持続性を保つ香辛料。2つの腕と背景にある無数の群衆。神話/民話の表裏。

キャラクタームービーとして抜群に秀でている。2人の男が大義と約束のもとに結ばれる描写を強靭な腕と腕の絡みに表現した冒頭から物語はマーブル模様のスクリュー回転する数奇な運命を一貫して描き、それぞれの表裏性を格好良いと可愛いにてセッティングしたことで鑑賞側の妄想も拡張する。

「エブエブ」もそうだが、アジアンのパワーを映画で描写することでメインストリームの多様性に加えて多様性による制限の同時性をもってしまった欧米圏で描けない、背徳性を担わせられる。「エブエブ」は家族、「RRR」は同性愛。実は多様化が生み出す精神的制限を逆手にとらるのはアジアか?

勘繰ってしまうのは良くないが、友情としての前半の最高潮に達するナートゥのシーンの入りのナチュラルさに思わず笑ってしまったが、熱量の高いブロマンスとして本作の強靭さ×可愛さ=愛おしさへと決定づける素晴らしいシーンだった。躍動とスローモーション、そして止め絵の雄弁さは圧巻。

上記の躍動さと情緒さも腕を取り合うようにスクリュー回転させて、無駄な場面を作らない、悪く言うとバカでも乗れるという最大級のポップさに戦太鼓の乱れ打ちは、多様な層を本作の中毒性に絡め取るための蛇のようでもあった。映画とはアツく、激しく、活力ある活劇であるという挑戦なり。