むぅ

サバカン SABAKANのむぅのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.0
「お!鈴木亮平と麻生久美子の子どもだ!」

語弊があり過ぎる事を思った。
正確には『テセウスの船』で鈴木亮平の、『MIU404』で麻生久美子の息子を演じていた子が、今作では主人公の弟として出演していた。
『テセウスの船』では鈴木亮平と戯れ、『MIU404』では麻生久美子の子ども役な上に綾野剛に肩車してもらい、今回は尾野真千子を母にして、私が好きな俳優とばかり共演するので"羨ましいビンゴ"にリーチがかかっている。今度もし佐々木蔵之介と共演しようものなら、ビンゴ。
こうなったらもう是非「ビンゴ!」して頂きたく。


1986年の長崎、小5の夏休み。
2人の少年の冒険、友情、家族との日々を描く。


「30超えたらみんな同い年」と言ったのは、確か桃井かおりと、よく行くバーで泥酔しがちだったあの人。
1986年に小5なら、私よりはちょっと上の世代だがここはもう同い年という事で。
夏休み前の教室で子ども達が、下じきをうちわ代わりにあおぐ何気ない一瞬のシーン。
懐かしい。
体育の後には「暑いー!」と下じきであおぎ、その内下じきの両端を持ってぺコンペコンしながら「水の中の音ー!」と始まり、時々誰かの下じきが割れる。
掃除の時間にはホウキの柄を人差し指に立て「もう30秒ー!」と騒ぐ誰かの後ろで、水の入ったバケツをぐるんぐるん回しながら「見てー!水こぼれなーい」という誰か。
そんな事がパァっと思い浮かび、気持ちがほぐれていく。

『ハケンアニメ!』のインタビューで「久しぶりの独身女性の役で上がりました」と言っていた尾野真千子の"母ちゃん"感がたまらなく良い。"ママ"でも"お母さん"でもなく、"母ちゃん"をこんなに上手く演れる尾野真千子大好き。そしてまさか竹原ピストルに泣かされるとは。
くそジジイとくそガキという宿敵ながら、ある種の信頼で結ばれている2人の関係も良い。

友達と、友達になるきっかけ。
友達と、友達だよね?と確認し合うあのこそばゆい時。
友達と、ずっと友達でいる約束。
子ども時代の"夏と友情"の相性の良さって何なんだろう。
ビールと餃子、ワインとチーズ、日本酒とお刺身、ハイボールと唐揚げに匹敵する安心感がある。
今作せっかく夏休みなのだから、音声だけではどう動いたら良いのか全くわからないのによくまぁ普及したよなと思うラジオ体操、願わくば第二のシーンを入れてくれてたら、もっとスコア上げちゃうのにと勝手なことを思いながら楽しんだ。


「いやもうこれは!」
スーパーで30円近く値上げされているのを発見し、しょんぼりしながら大切に取っておいたサバ缶梅じそ風味の最後の1缶と秋味の缶ビールをお供に観た。
そういや缶ビールって夏味ないよな、ビールがそもそも"夏!"だからかな?と、小学生に冷たい目で見られそうな事を思いながら。
むぅ

むぅ