むぅ

バービーのむぅのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.9
いや、ごめんなさい、本当に。

スポーツ苦手と言ってもさすがにそれは知っとるわという初期の初期の野球ルールから説明された時、ゴッドファーザー観てないなんてあり得ないわと語られた時、ギターの弾き語りに遭遇してしまった時(さすがに夜の砂浜じゃなかったが)、笑顔キープのまま思いっきり心の中では鼻で笑ってきた。
逆に。
自分と身長の変わらない男性と会う時はヒールを避けたし、その場を乗り切るために思ってもないお世辞を並べたし、興味なさすぎて聞かずに返したCDもある。BBQで座りっぱなしだった幼馴染に「BBQで肉焼くのは男の仕事では?」と後から文句垂れた事さえある。

鑑賞後、今作をお勧めしてくれた友人に"男性あるある"を鼻で笑った過去を反省しますとLINEしたら
「そこは爆笑するとこでしょ」
と返ってきた。うん、もちろん笑う所なんだろうけど、笑ってるままでいいのかな?とも思うのだ。
"自分らしく"その人が楽しんだり夢中になってる事を嘲笑うのって、すごく下品だったと反省したい。
それがマンスプであるならば大いに異議を唱えていこうと思うけれど、そうじゃない事だってたくさんたくさんあるのだ。


《バービー》
誰もが知っているバービーが住むバービーランド。楽しい日々を過ごしていたバービーの身体に、ある日異変が。その原因は?!


「おやぁ...?」
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で大好きになったグレタ・ガーウィグ、主人公のジョーの気持ちがわかり過ぎてボロボロ泣いた。今作も思いっきりバービーに感情移入するんだろうなと思って観始めた。
ところが、ケンの気持ちもよくわかる。
人間世界に行ったケンが「女性に敬語で話しかけられた!」と感動するシーン、わかるわぁーとなってしまった。
1人でバーで飲んでいる時、明らかに年上の男性が敬語で話しかけてくれると、感動!まではいかないが、かなり好印象になる私としては。
また、マーゴット・ロビー演じる"定番バービー"が「私は大統領や医者のバービーじゃなくて何の取り柄もない」と言うシーンもまた胸が締め付けられる思いだった。
夢や目標を持っている事はとってもカッコいい。けれども、それがなくったって、それは誰かに否定される事じゃない。


「私が残ります」
大好きな小説で、バレーボールの特待生として入学した子がバレー部を辞めると顧問に伝えた時、顧問に「お前からバレーを取ったら何が残るんだ」と責められてそう答えた。この台詞は、『魔女の宅急便』のキキの「落ち込むこともあるけれど、私はこの街が好きです」と同じくらい私を励ましてくれる台詞だったのに忘れていた。
その子のあだ名は"ニコリ"。もし、私も小説の中で描かれる事があるならば、そんな風に呼ばれたい。そう思った制服のスカートを織り込んでルーズソックスだった"定番"を心がけていた高校時代を思い出してしまった。


「男ってすごい!」
「女ってすごい!」
それも良いと思うけれど
「私って素敵!」
「あなたって素敵!」
それが増えていくと良いな、と思う。

ピンクの中でも最も自分に似合わないタイプの"ピンク色"で鑑賞後、目がチカチカ。
そして1番共感した台詞は、ヒールに合わせた"爪先立ち型"だったバービーの足のかかとが地面についた時のバービーの台詞。
「この足の形はヒールに合わない!」
本当それ。
そんな私は物語内でバービーが最初は履くのを嫌がったビルケンのサンダルを爪先に引っかけながら観ていた。
秋になったら久しぶりにヒールを履こう。
でも今年の夏はこのサンダル一択。
何故ならがっつりサンダル焼けしてしまったから。

帰り道、このサンダル焼けのように白黒はっきりつかないから人間って面白いんだろうな、などと思った。
むぅ

むぅ