backpacker

ザ・ロストシティのbackpackerのレビュー・感想・評価

ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)
4.0
「駄作と言って読者を貶めるな」
「君は表紙で中身を判断しないと思ってた」

素晴らしい!ボンクラ映画好きには堪らない、最高のゲラ笑い映画でした!
本作は、古いミステリーアドベンチャーを現代的にブラッシュアップしている真面目な映画であると同時に、「知能を溶かすバカなロマンチックコメディの皮を被った、知能を溶かす純粋なバカ映画」という、アホな二重構造?にもなっています。とんでもない食わせ物な一品です。
ラッキーな事に、レイトショーで私以外の客がゼロだったため、ゲラゲラ馬鹿笑いしながら見てしまいました。もし、客が入ってる中で見ていたら、絶対十分には楽しめなかっただろうなぁ……。

また、「くっだらねぇなんだこれwww」とゲラってる箇所がいくつもあった割に、後から考えると、そのシーンがどんな役割を持っていたかとか、そもそもどんなシーンがあったっけ?とか、殆ど思い出せないというのも本作の魅力。
ここまで肩の力を抜いて、何も考えず、頭空っぽ口ポカーンで見られる映画は、このところ全く巡り会えていませんでしたので、非常にありがたかったですね。

思うに、最近の映画は軒並み、「正しさ」や「かくあるべし」といった清潔で綺麗な主張の他、各種方面への配慮や現実世界の問題に対する主張等がこれでもか!と盛り込まれている上に、公開された作品に対してもそういった視点での対立に伴う批判合戦等が展開されがちで、時としてどうしてもノイズになります。
それが悪いとは言いませんし、私自身そう言った見方は大切にしたいと常々思っていますが、いい加減思ってしまうこともあるんです。「あれやコレやと五月蝿いよ!!」と。

そんな中で、本作は、マチズモ溢れるアクション・アドベンチャー系映画に対する現代的なアップデートを施すと同時に、それらが生み出すシーンがどれもくだらない笑いに満ちていて、アプデを意識させないで見られる自然体さが、本当にありがたい映画でした。
これはひとえに、チャニング・テイタムのおかげじゃないかなぁと思っています。
この人、『21ジャンプストリート』や『ディス・イズ・ジ・エンド』、最近では『フリー・ガイ』等で、そのコメディ力(ぢから)の高さを遺憾なく発揮していますが、今回の浅くてウザいモデルのアランも、最高のハマり役です。
ガンガンスモーク焚いてる中キメ顔で踊りながら現れる初登場シーンとか、背中に美肌用のシートマスクベタベタ貼って焚き火を囲むシーンなんて、もう、堪らん笑

また、どんなヘンテコな役でも体当たりでやったるで!という何でも屋感が出てきたダニエル・ラドクリフが、『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』のメイブリー役にそっくりなお金持ちのボンボン・フェアファックス役で出たり、これまた絶妙な役どころとして颯爽と登場したくせに、笑わせるだけ笑わせて早期退場したブラッド・ピット(ポストクレジットシーンは要チェックですヨ!)とか、豪華な顔ぶれがしょうもない感じなのも素晴らしいですね。

そんなしょうもない男連中以上に、サンドラ・ブロック演じる主人公・ロレッタや、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ演じるマネージャーのベス等、女性陣が素晴らしい演技を見せるが故に面白い、ということも忘れてはなりません。
力強さと弱さを両立しつつ、アホな男どもに負けず劣らずなマヌケぶりも披露していて、どっちもどっちで酷いなぁとニコニコしてしまいます。


これくらいの低脳感が溢れる映画が、最近はホントに少ないので、もっと増やして欲しいなという思いに火がついてしまいました。
ボンクラ映画、もっと作ってくれ!見に行くから!!



「人は脳の10%しか使ってない。だから残りに切り替えた」
backpacker

backpacker