主人公はポッドキャスターやLGBTQ+活動家としてマルチに活躍する"cis white gay (受賞)"のボビー40歳。"ゲイとして"プライドを持って賢く正しく生きることばかり考える彼は、ある日クラブで"男として"のクールさに固執しゲイであることにプライドが持てないイケメン弁護士のアーロンに一目惚れをします。
あらすじからも想像できるように、一つ一つのシーンやその展開は非常に古典的なラブコメのそれ(=結局、冒頭の"Love is love" by ストレートの大物プロデューサー は正しいじゃんというオシャレな皮肉!)です。しかし、そんな場面でのありきたりなセリフには、紛れもなく"本物の魂"が感じられ型にはまったものを見せられている感はゼロで、心にずっしり響いてきます。
笑いのセンスも冴えわたっている。いわゆる"ゲイネタ"が心地の良いテンポでガンガン繰り広げられているのですが(+画面にもぎっしりネタが仕込まれてます)、世界中で繰り返しテスト上映されただけあって、"We had AIDS, they had GLEE"のようにマニアック過ぎずかつストレートにも媚びない絶妙なバランス感覚が素晴らしい。そして、忘れてはならないのは、ボビーを演じるビリー・アイクナーの顔芸・声芸!もう、抱腹絶倒間違いないです。
セリフに"本物の魂"が感じられると上で記載しましたが、これは脚本の巧みさはもちろんですが、ボビーとアーロンの役どころに役者本人のキャラクターや経験が反映されているのも一つの要因だと思います。ボビーを演じるビリー・アイクナーは人気の冠番組"Billy on the Street*"での街頭インタビューを通してゲイである自分がどう周囲からみられているのかをやや自意識過剰に考察し続けているし、アーロンを演じる保守系Hallmarkのラブコメの帝王ルーク・マクファーレンは、リアルでGarth Brooksが好き+私生活でカミングアウトしていない男性との交際に苦労している様子が何度も報じられています。