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ポスト・モーテム 遺体写真家トーマスのcocacorgiのレビュー・感想・評価

3.5
冒頭の戦争のシーンからほいほいと簡単に人が死ぬ、日常に戻ってもありふれる死、圧倒的に死が身近にある世界。ならば霊すらも溢れかえっていたとしてもおかしくはない。いるのが当たり前の感じで接するのすごい好き。
死体が怖くないの?ー私が怖いのは幽霊。
そんなセリフが象徴するように、この世界の中では遺体と魂の2つが同時に存在していて、それはもう同一のものではないって強調が、肉体ってただの容れ物でしかないんだよなって実感させる。肉体から魂が出ちゃった状態が死。当たり前だけど。
あと、天使がいて魂を天国に連れてってくれる、それがホントならこんなことにはならなかったよなーって。天使はいなかった。けどそれと同時に悪魔もいなかった。結局は、死してなおの人のわがまま。
宗教で解決できる範囲って実はかなり狭くて、結局はどこまで行っても人なんだよなって、ヨーロッパでこの価値観、新鮮。
ファンタジーと監督の死生観の綱渡りのバランス感覚がすごく面白い作品。死後の時間の概念が完全にインターステラーなのもめちゃくちゃアガった。
この監督さん、すごいセンス良いなって思う。思うけど、正直途中でダレるとこあって、完璧な映画ではないのが、また魅力。
ポストモーテムの世界、すごく興味深い題材。
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