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きさらぎ駅のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

きさらぎ駅(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

女子大生の主人公は卒論のテーマにかつてネット上で話題となった「きさらぎ駅」を選ぶ。その伝説の投稿主と噂される人物に取材を取り付けたヒロインは、彼女との詳細なインタビューの過程で異世界へ赴くための法則性に気づく。ヒロインは自身の仮説を実行するのだが......という話。
かつて2chで一世を風靡した「きさらぎ駅」を題材にした作品。

近作では「犬鳴村」など都市伝説の映画がよく撮られているが、同ジャンルの中で本作はもとの伝説を活かして映画という媒体に上手く落とし込んでいると感じた。
好みは分かれそうだが、僕はすごく楽しめた。

単に「きさらぎ駅」のもとの投稿を追うのではなく異世界から帰還した人物の回想をヒロインが聞くという手法を取ったことでリアリティと新鮮さが得られている。赴いた人物の主観映像で見せる異世界描写も臨場感があって、驚かせるホラー表現も秀逸だった。少し白石晃士監督のテイストと似ている。爆死シーンはなかなか衝撃的だった。

後半実際に異世界へ赴いたヒロインが取材で聞いた回想と同じ体験をたどることになるのだが、同じエピソードではなくその後の事件を知っているヒロインが知識から危機を回避したり、一回目の回想では写していない描写を絡めたりと飽きさせない工夫が見られた。更に未来を変えたことでその後の展開が予想できなくなるところも面白かった。異世界エレベーターの法則ときさらぎ駅を絡めたアイデアもユニークで、都市伝説知識の豊富さが感じられたそういえば「クネクネ」っぽいものも出ていたな。

そしてもとの投稿主の目的が判明する結末は本当に驚かされた。更にエンドロール後に出てくる投稿主の因果応報となるエピソードも余韻が残った。

ツッコミどころとは、ヒロインがいくら詳細に投稿主の体験談を聞いていたとはいえ、さすがに異世界を一度体験したことのあるような知識と落ち着きぶりは違和感があったし、そもそもヒロインがものすごい善人で自己犠牲精神を持ち合わせていたら投稿主の思い描いたラストにならなかったのでは? あと、ヒロインは結局全員助けようとしてるわけではないのね......

異世界シーンは同じロケハンでほぼ同じメンバーで2回同じエピソードを撮影するスケジュールだったと予想されるので、コスパも良さそう(^^)
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