うめまつ

オードリー・ヘプバーンのうめまつのレビュー・感想・評価

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)
5.0
最も美しい人に最も清らかな魂が宿った奇跡。世界一愛されている女優と言っても過言ではないだろうし、私も例に洩れず大好きで学生の頃観れる作品は片っ端から観たし、その波瀾万丈な人生の事もそれなりに知ってるつもりで居たけど、改めてこうして生い立ちから辿ってみると、どんな状況でも嘆かずに前を向き、自分が与えられなかった愛を他者に与える事で取り戻して行った人だと言うことがわかる。その姿は荒野にぽつんと咲く凛とした白い花のようだった。

6歳で両親が離婚し、父親に捨てられたことで「自分は欠落品だから愛されなかった」とずっとずっと苦しんでいたこと。世界大戦により青春時代が奪われ、ナチス支配下のオランダで長らく飢えに耐え忍んだこと。幸福な時はあったが二度の結婚と離婚で傷つき疲れ果てたこと。家族との素朴な時間が何よりも大切で、子育てに専念したいという理由で約10年間映画に出演しなかったこと。戦争体験を語ったことをきっかけにユニセフ親善大使となり、世界中の子供たちを救う為に自身の残りの人生を費やしたこと。

映画の作り自体は、過去の映像や肉声と関係者のインタビューなどを交えたオーソドックスなドキュメンタリーだけど、彼女を敬愛している人達が本当に嬉しそうにまた悲しそうに、大切な思い出を壊さないように語るので、どれだけ愛されていたのかがひしひしと伝わる。特にユニセフ親善大使になったあたりから涙が止まらなくて、泣き過ぎて苦しくて喉が痛い。資金を集める為の広告塔である自分の役割や立場をよく理解していて、でも実際現地に行けば全然支援が追いついてない現状に打ちのめされ、飢餓で苦しむ子供達を腕に抱きながら無力感と闘い続けていた。そんな彼女のあまりにも高潔な人生を私なんかが減点する資格はないので、この満点はオードリーヘップバーンという一人の女性の、美しい生き方に対する尊敬の意を表しています。
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