福岡県の柳川を舞台に、中国人兄弟と、中国人女性1人の微妙な三角関係を描く。監督は中国出身の朝鮮族三世チャン・リュルである。
日本がロケ地なのに、中国人が撮影すると、いわゆる日本映画とは違う美しさを醸し出す事に驚く。先の3人に、日本側からキャスティングされている池松壮亮、中野良子を加えた5人に絞り込んだ脚本。ジョン・レノンの音楽、台詞だけではなく、仕草にも重点を置くディレクション。日本人監督だと、何処か照れくささがあって、ここまで思い切った作品は作れないのかもしれない。
特に強く印象に残るのは中国の女優ニー・ニーの存在感である。バーに設置されたシンプルなステージでジョン・レノンの曲を歌う登場シーンから一気に引き込まれる。
兄弟の兄を演じるシン・バイチンは、前半では女性や年下を見下しているかのように思える言動に嫌味を感じたが、後半ではその人間臭さの中に優しさが見え隠れする存在として描かれる。
自動販売機前でニー・ニーとシン・バイチンが踊るシーンが美しい。