クレセント

旅愁のクレセントのレビュー・感想・評価

旅愁(1950年製作の映画)
3.6
あなたに恋をしたの。でも間違いだったわ。あなたには奥様がいるのに。妻とは別れるつもりだった。でも妻は離婚はできない。愛が冷めても簡単にはいかない。何より息子がいると言うんだ。奥様はあなたを愛しているわ。いや、愛するだけじゃダメなんだ。相手を幸せにできるかが大事なんだよ。そして翌朝、運命のいたずらは、二人が乗るはずだった飛行機が墜落したことを知った。生存者は絶望的と報じられた。二人の名前も載っているわ。そして二人は同じことを考えた。ダメ。言わないで。君も同じことを? 僕らは奇跡的なチャンスを与えられたんだ。それで幸せになれるの?皆を悲しませることになるのよ。みんなは死んだと思っている。僕らは一緒にいたから生き残ったんんだ。でも怖いわ。あなたは家族にとって必要だわ。僕は君が必要だ。僕は身勝手な男さ。運命は僕らに新しい人生をくれたんだ。今、大切なのは僕らが愛し合っていることだ。その気持ちを確かめるなら僕が今書いた電報を送ってほしい。そういって彼は彼女の心を探るようにその場を離れた。しばらくの間、彼女は思案に暮れた。そして決心したようにその電報を破り捨てると外で待つ彼のもとへと急いだ。愛が盲目となる見事なシーンだが、永くは続かないのがよくわかる。愛するだけじゃダメなんだ。相手を幸せにできるかが大事なんだよ、とは身勝手な男の言い草なんだな。いつの世も。
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