翔海

恋する惑星 4Kレストア版の翔海のレビュー・感想・評価

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)
3.9
恋に賞味期限があるとしたらそれは缶詰と同じだろう。


些細な喧嘩で別れた彼女のことが忘れられない警官の223番は、彼女からの連絡を待つ日々。彼女の好物だったパインの缶詰を自分の誕生日と同じ5月1日の物を買い続けていた。缶詰を30個買い集めるまでに彼女からの連絡が無ければ諦めようとしていた。誕生日当日に彼女からの連絡は無く、大量のパインの缶詰を食べて憂さ晴らしに呑みに出かけた男はバーで恋に落ちる。

ハンバーガーショップで働くフェイは夜食を買いに来る警官633番の事が気になる。自分の気持ちに素直になれないフェイのアプローチは少し回りくどい。ある日、お店に訪れた女性は警官の彼に渡して欲しいと手紙を置いてゆく。その中には鍵が入っており、フェイはその鍵で警官の家に入り込む。彼が居ない間に部屋を模様替えしたり、彼の部屋でくつろぐフェイ。鈍感な警官633番はフェイの気持ちに気がついているのだろうか。


2つの恋愛物語が織り成すオムニバス
香港の街で起こる2つの物語。街のどこかで会っているけれど、お互いに知らない人。小さなキッカケから恋に落ちることもあるのだろう。皆、それぞれの恋愛観を持ち合わせているか二人の距離感も様々。警官223番の物語は男性寄りの恋愛観、フェイの物語は女性の恋愛観だとも思える。警官223番のほうが共感を持てるし、寂しい夜に慰めてくれる女性を探してしまうのも分かる気がする。男性は弱い生き物だから。
フェイの恋愛観は、知り合いにこんなタイプの女性がいる。上手く愛情を伝えることは出来ないけれど、想う気持ちは強い。この気持ちに応えられる男性は少ないだろう。気持ちが通じあったその瞬間に恋が結ばれるだろうね。

「失恋をすると 僕はジョギングをする体の水分を蒸発させ涙が出ないようにするためだ」
キザなセリフで自分なら絶対に言わない言葉だけど良いなと思えた。警官223番は金城武さんという日本人俳優さんだと見終えてから知る。目鼻立ちもくっきりとした高身長のイケメン俳優。現代で例えるならsnowmanのジェシーさんにも似ていると思った。どちらのファンの方にも怒られてしまいそうですが、どちらも深く知らない私にはそう見えた。女性にフラれて傷心する男性としては完璧な役をこなしていた金城武さん。偶然にも私は5日前に26歳になった。25歳でここまでの大人の魅力がある警官223番、とても羨ましくも思えた。大人の魅力って何だろうかと考える永遠の疑問である。
翔海

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