翔海

リバー・ランズ・スルー・イットの翔海のレビュー・感想・評価

4.3
モンタナでは 教会と仕事と釣りは時間厳守だ


彼ら兄弟には釣りが魂の対話
1910-1920年 アメリカ モンタナ州ミズーラ。教会で牧師をする厳格な父に育てられた2人の兄弟は、人生の真実と釣りの楽しさを教えられた。ノーマンは真面目な性格で優秀な兄、ポールはヤンチャで危険を顧みない明るい性格の弟。対象的な兄弟であったが2人に共通している趣味は父から教わったフライフィッシングだった。やがて成長した兄弟は別々の大学へ進む。ノーマンは名門ダートマス大学へ進学し、ポールは地元の大学を出てからは新聞社に就職をする。それぞれ別の道へと進んだ兄弟であったが、大人になってもフライフィッシングに熱中している時間が2人を繋いでいた。弟ポールはポーカー賭博にのめり込んでしまい、借金を作ってしまう。それを知った兄ノーマンだったが、弟を止めることはできなかった。

人生、苦楽をして時間は流れる川のように。
とても美しい映画に出会えた。フライフィッシングを通して彼ら兄弟の人生を知ることができた。どんな人生を歩んだとしても誰にでも後悔や辛い過去はある。それでも時間というは流れ、人は生きてゆく。26歳の私がこんなことを語っても説得力はないし、まだ大した人生は歩んできてはいないが、このような作品に出会うと人生を振り返ろうと思える。他の作品で例えるのは良くないけれど「マンチェスターバイザーシー」でも流れゆく時間のなかで心の傷が癒えてゆく感覚に近いものをこの作品には感じた。誰しも人を亡くすことは心から無くならない記憶であり、後悔先に立たずというように今を生きることが大切である。

浅草のカフェ兼ケーキ屋さんにこの映画の大きなポスターが飾ってある。
そのお店を見つけたのは2年ほど前。きっかけとなったのが、仲の良い先輩がケーキと花を注文したから代わりに受け取って欲しいと頼まれてお店に伺った。真夏の暑い日に私はケーキを受け取り、帰ろうとした時に外に飾ってある大きなポスターを見つけた。この映画のポスターであった。その時はブラッド・ピットが主演の映画ということくらいしか知らなかったけど、今回観て奥深い映画であると知った。この映画は人生の縮図のようだ。私が先輩に頼まれて受け取ったケーキと花はプロポーズと誕生日を祝う為に先輩が用意したサプライズであった。先輩は沖縄でプロポーズをして、家に帰ってサプライズをするという計画で私はそれのサポート任された。人生の一大イベントに関わることができた思い出である。彼は今はオランダで働いている。元気に過ごしているだろうか。
翔海

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