翔海

浅草キッドの翔海のレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
3.5
不器用な生き方は師匠譲り。

舞台は昭和40年代の浅草。
1人の芸人を志す若者がフランス座でドアマンとして働く。大学を1週間で中退をしてでも芸人になりたいと強い意志はあるけれど、芸がひとつも無い。そんな中途半端な若者は、フランス座の座長 深見千三郎に弟子入りをする。芸人ならひとつは芸を持てとタップダンスを教わり、芸人としての自覚が目覚めていった若者はコントにも出るようになり、芸に磨きがかかってゆく。深見千三郎もそんな若者のことを「アイツもしかすると化けるぞ」と期待をする。芸人として歩み始めた若者は、客が減ってゆくフランス座を目にして自分はここに居るべきなのか葛藤する。師匠の愛したフランス座を後に若者は、芸人として漫才をするために外の世界へ。

知られざるビートたけしの過去。
私の世代はツービートのコントを見たことがないと思う。私もこの映画を見るまではビートたけしさんがコントをしているイメージが無いほどに今では、お笑い界のレジェンド。YouTubeで昔のツービートのコントを見たけれど、その時代では先進的なお笑いをしていたのだと思うとツービートの偉大さが伝わる。偉大な師匠の背中を見てきたビートたけしの生き様は正に師匠ゆずりだと思う。

世界観も演技もインパクトは強い。
柳楽優弥さんも大泉洋さんも役を憑依しているかのように素晴らしい演技だった。特に柳楽さんは細かい癖までこだわっているのが伝わる。相当プレッシャーもあっただろう。お笑い界のレジェンドを自分が演じるということに。それでも全うして素晴らしい作品になっただろう。しかし、私はハマることができなかった。途中から違和感を感じ始めた。配役のことや演出を私が言える立場ではないけれど、クリーピーナッツの雑な配役や最後のフランス座にビートたけしが昔を懐かしむシーンも好みでは無かった。けれど、フランス座は今も東洋館として浅草にあることを思うと歴史を知ることができて良かったとも思える。
翔海

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