翔海

誰も知らないの翔海のレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.1
誰も"僕たちのことを"知らない。

大人の身勝手に振り回さないで。
つくづく大人は身勝手でずる賢く、自分都合な人間がいる。今年からフリーランスになって色々な人達と関わる機会が増えてきて、それをとても実感した。何故、相手のことを思いやれないのだろうか、自分のことだけしか考えていないのか。子供はこんなにも純粋で淀みのない心を持っているのに、大人になるにつれて心が変わってしまうだろうか。色んな環境で子供は成長して大人になるけど、そこで得たことが大人になって反映される。環境のせいにするのは良くないけど、自分という人間を表すのは大人になってからの行動や言動だと思う。全ての大人を否定する訳ではないけれど、少なからず身勝手な人間はいる。子供のまま大人になった人間ほど哀れなものはない。

フィクションだけが映画ではない。
夢や希望を見させてくれる映画も必要だけど、時には実話を後世に伝えるために映画に残すことも大切だと思う。実話を元にした作品は数多く存在しており、事件を風化させてはいけないという監督の強いメッセージは作品を観た人たちにも伝わるはず。この作品では「巣鴨子供置き去り事件」を題材に是枝裕和監督が15年の構想を経て映像化した作品である。ネグレクトによって子供たちだけで生活をしてゆき、大人の手を借りずに懸命に生きる子供たちの強さ。そして、大人の身勝手によって奪われた命。すべての大人が観るべき作品。

子供よりも大人は弱く脆い。
子供は常に前向き生きようとしている。大人になるにつれて人は精神が弱くなり、未来を悲観してしまうことがある。私もその一人であった。フリーランスになってから収入が安定せずに貯金は底を尽き、収入が入らないと生活が出来ないという焦りから精神的に落ちていた。しかし、私の周りには相談できる人が居たことが心の支えになった。彼らは自立した心を持ち人間としても私は尊敬している人達である。常に俯瞰して物事を捉えることができている数少ない大人だと思っている。私も今は精神状態も安定してフリーランスを続けている。
大人ほど鬱病になりやすいのは、強くいなくてはいけないと思い込んでいたりストレス・不安のはけ口が無いことが原因だと思う。ネグレクトや虐待など子供に対して愛情を注げない大人たちにもきっと問題を抱えているはず。みんながみんな強い人間ではないから、支えることができるのも周りの人間だけである。自分だけに囚われずにまずは周りに手を差し伸べることから始めよう。そうすれば、自分が辛いときには周りの人達がきっとあなたを支えてくれるはずだから。
翔海

翔海