こうん

ミッション:インポッシブルのこうんのレビュー・感想・評価

4.3
ただでさえ酷暑で頭がおかしくなっているうえに刻々と公開日が近づいているのでわたしのミッションはインポッシブルして爆発しそう。
新作「デッドレコニング PART ONE」に備えてM:Iマラソンしたので、ざっくり今のところのベスト3を開陳してクールダウンしようと思います。
ざっくり、といっても長くなってしまいそうですが。
 
まず第3位は、じゃじゃん!
記念すべき第1作「ミッション:インポッシブル」!
トムが初めてプロデューサーを務めた作品で、彼の映画人としてのキャリアの転換点でもあります。
当時はヒットしまくりましたけど、名匠デ・パルマの本来の冴えがなく、おまけにオリジナルのテレビ版のキャラクターを裏切り者に改変しぶっ殺して“俺仕様”に刷新したトム版スパイ大作戦に非難があったのを憶えています。
 
それでもまだ高校生だったわたしは大いに楽しんだし、当時読んでいたロードショー誌に載っていた“トムの顔にメイクで隠し切れない吹き出物ができて撮影が2日中断した”という記事に共感したりしてましたね。ニキビが出来るくらいに若かったトム・クルーズ当時33歳くらい!
まだキャラクターとしても幼く、それまでのトム映画によく見られた“父親的存在との葛藤”という要素が盛り込まれていて、そこは今観たら新鮮ですよね~。
トム以外のレギュラーであるルーサー役のヴィング・レイムスも若い!エマニュエル・ベアールもなんだかエロい!ファム・ファタールです。アメリカン・ニューシネマでスターだったジョン・ヴォイトもこの映画前後からキャリア復活しました、「ヒート」とか「アナコンダ」とかね。
 
本家のスパイ大作戦はチームプレイが本懐、と聞いていますが本作ではトム演じるIMFのエージェント、イーサン・ハントが謀られ孤立し追われるという所謂“巻き込まれ型”サスペンスで、終盤の真犯人を目の前にしてすべての策略に気付く、という演出がハッタリが効きまくっていて、超面白いです。
スパイ大作戦ぽくはないけど、面白いからいいじゃないとは思います。ちゃんと後々スパイ大作戦ぽさにちゃんと回帰していきますしね。
 
あとは超有名なCIA本部潜入のぶら下がりサスペンスですよねー。
何億回パロディにされたことか。ジャン・レノが鼠にビビる、というのが今観ると無理やりだし演技がバカっぽいし、牧歌的ですよね。
 
それでもやはり娯楽映画の王道を行っていて、冒頭で殺されちゃうエミリオ・エステベスから譲り受けた“ガム爆弾”で悪いやつをやっつけるところが超好きで毎回「ふーーー!」となります。「レッドライト!グリーンライト!」ボーン!というくだりが少年マンガ的で。必殺技名叫ぶやつみたい。
そのへんのやや誇張されたわかりやすさと面白さが、デ・パルマにしては…ということになっていた気はしますけど。
個人的にはこの爆弾ガムが再登場することを希望していますし、本作に登場したマックス(ヴァネッサ・レッドグレーブ)の娘がすでにシリーズに登場していて最新作にも出てきますし、キトリッジもCIA本部でゲリPにされてアラスカ支部に飛ばされたオッサン(気の毒)も「デッドレコニング」に登場するそうなので、楽しみです。
 
この“往年のテレビドラマの映画化”というのはそれ以前にもあって、ハリソン・フォードの「逃亡者」が成功してそれが嚆矢となった気がしますけど、この後もハリウッドの企画ビンボーでテレビドラマが続々と映画化され上手くいったり失敗したり、そういうトレンドでしたね。
そういえば80年代後半の「アンタッチャブル」も元はドラマで、デ・パルマの起用もそのへんの思い付きなんだろうか。
なんにせよ、キャスティングといい、スタッフィングといい(脚本は「チャイナタウン」のロバート・タウンを連れてきている)、トム・クルーズのスターパワーコネクションフル活用という感じですね。
天井ぶら下がりや巨大水槽破壊など、けっこう身体を張っているのも当時としてはけっこうウリになっていた気がします。今ならみんな自分でやるけども。アクションはスタントマンかアクション俳優の仕事でしたもんね。
 
面白いかどうかは別として(わたしは初見時楽しかったから今でも楽しんで観ています)、長大でクレイジーなミッション・インポッシブル・シリーズの原点がここに!という感じで、第3位です!
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