とりん

CLOSE/クロースのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2023年59本目(映画館22本目)

非常に心苦しい作品だった。
子どもの頃の些細なキッカケで疎遠になっていくレオとレミの2人の少年を描いた作品。
とても繊細に描かれていて、心情描写も上手く映されていたように思う。ワンシーンワンシーンがとても丁寧で、映像が美しく、またそこに重なる音楽がとても良くて惹きつけられた。だからこそあの2人がどういった関係性で、その先やもっと深いところも見えてきたのだと思う。

予告やあらすじには核となる真実は明確に記されていなかったけど、私は公式のネタバレを含む注意事項を先に見てしまったのもあり、そこの部分を知っていた。
でもそうでなくてもそこに辿り着く前になんとなく察してはいたと思う。てっきりレオが最初亡くなるのかなと序盤は思ってたけど、レミの繊細すぎる心が見えた時に確信してしまった。
繊細すぎる故にこれまでずっと仲良くしてきたレミが離れてしまったから、その心が崩れてしまったのだろう。
でも彼自身も別の友達と一歩踏み出したようなシーンも少しあったが、きっとそれもうまくはいかなかったのだろう。
彼の代わりはいなくて、その喪失感のあまり、レオは自分がいなくても楽しんでる様子なんかを見て、耐えきれなくなったのだろう。

レオが背負っていく罪の意識の重さがどんどんのしかかっていく後半、レオの表情とか行動に胸が締め付けられる。
そしてその選択をしたレミの大切さを改めて知るからこそだろう。
アイスホッケーの友だちにレミを重ねても、それはその子でしかなく、レミではないのだから。

この映画のように周りの言葉が少し気になった、新たな環境になった時にほんの少し離れてみたくなったくらいの気持ちが、相手との思惑が全く異なり、今回のようなケースになることもなくはないだろう。
だからこそリアリティもあるし、残されたレオ意識や、それを知ったレミの母の気持ちが痛いほど伝わる。
一度は突き放したものの、同じ道を行かせまいとレオを抱きしめるシーンは思わず泣いてしまいそうだった。
誰が悪いとかそういうことではない。こういうことは誰しもが起こり得るものだということも改めて考えたい。
とりん

とりん