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ノック 終末の訪問者のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ゲイのカップルとその幼い養女は自然豊かな森の中の山小屋で休日を過ごしていた。そこへ4人の不審な男女が小屋を強襲し、主人公たちを拘束する。
そこで彼らは信じられないことを口にする。やがて世界は多大な死者を出した末に終焉する。それを防ぐには主人公らの家族の内一人の犠牲者を自分たちの意思で選び自らの手で殺害するしかないと言う。主人公たちは信じなかったが、TVでは大災害の様子が報道されて......という話。
『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督の最新作。原作小説をもとに映画化したらしい。

仲睦まじい家族が究極の選択に迫られるスリリングな作品。背景やキャラクターの説明をしないまま、自然の中で和やかに遊ぶ少女の描写から急展開していきなり本筋に入る構成と単純ながらも謎だらけのストーリーに引きこまれる。息もつかせないままエンディングまで進んでいて大満足だった。
襲撃者が4人で、彼らが一人ずつ死ぬことで災厄が発生する点からも早い段階から黙示録の四騎士をモチーフにしていることは読み解けたのだが、超自然的な現象なのか主人公たちを騙すトリックなのかを観客に迷わせる流れが続いていて、後者の要素がやや弱いことと、シャマラン監督作なんだからほぼ前者だろうという先入観があるせいか、その要素ではそんなに意外性は無かった。
また、最初に掲示させた情報がほぼ全て正確で最後まで大きな変化もなく、あっと驚く結末も無かったにもかかわらず楽しめてしまうのは創り手の確かな力量を感じた。家族のドラマと心ならずも凶行に及ぶ襲撃者たちの葛藤がしっかり描かれていたのは良かった。エンドロールで4つの災厄を不気味な音響とともに表現しているのも味が出ていた。
といっても、シャマラン監督にはどうしても大どんでん返しなラストを求めてしまうファン目線があるのでその意味では少し物足りなく感じた。結局バーで主人公を襲ったのが襲撃者の一人という設定はミスリード目的でしかなったのかなあ?
「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」でも有名なデイブ・バウティスタが襲撃者の主謀格で、体格に似つかない繊細な演技と要所要所の迫力あるアクションで、さすがの存在感を放っていた。

やはりアメリカ映画でのポリティカリー・コレクトの潮流は相当強力なのだと、キャストや設定を見ていて感じた。本作では違和感はほとんど無かったのだが、今後多くの作品で無理やり設定に組み込まれていくのかなあと少しモヤモヤした。

少し出番少なめだが、今回もしっかり監督が出演していた(^^)
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