サラリーマン岡崎

プアン/友だちと呼ばせてのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
4.5
人生は後悔だらけ、死ぬ前にその後悔を晴らしていく姿は完全に自己満足。
その自己満足さを表す様に、元カノの元に訪れるウードに対して、大半が拒絶反応を起こす。
だからこそ、観客は人生には後悔がたくさんあることを学ぶ。
夢を追いかけられなかったこと、束縛が激しくなってしまったこと、
黙って恋人の元から離れたこと、人間は弱さがたくさんあり、
その度に人を傷つけていく。

その人生の苦さ、また彼女たちと過ごした楽しかった日々を元カノの職業にまつわるもの(ダンス・セリフ・写真)だったり、
音楽、そしてカクテルを通して表現がされているのがとてもよかった。
特にカクテルはとてもよかった。
自分自身、カクテルの知識はほぼなかったけれど、
色々なお酒や工夫を凝らして、作られる味を彼らの恋に置き換える様は素敵だった。
語られる物語は人の弱みから生まれる酷い話だったりすることもあるけど、
そんな風に様々なアートから表現されることで、
人生における味わいを感じられる様になっている。ほんのり切ない。
全体的な小道具づかいで彼らの心情を表現している。

全体的に余すことなく、恋愛と人生の後悔と刹那をキレイに表現しているが、
最終的な物語の終着点としても恋愛・友情それぞれを別々で描くのではなく、
しっかりまとめて描いていることもとてもキレイ。
正直、男くさい自己満ストーリーではあるが、でも、そういった自分たちの人生の後悔も優しく包み込んでくれる様なキリスト教的映画。
でも、なるべく人を傷つけずには生きたいけれど…。