むぅ

ブロンドのむぅのレビュー・感想・評価

ブロンド(2022年製作の映画)
1.5
アンネ・フランクとオードリー・ヘプバーンが同い年だと知った。

マリリン・モンローも同じくらいじゃないのかな?とふと思った。
調べてみたら3歳年上だった。
そして彼女はエリザベス2世と同い年だった。


幼い頃に読んだ『ハンサムな彼女』という漫画で、「マリリン・モンローはチーズケーキ」という言葉に出会った。
ローレン・バコールやマレーネ・ディートリッヒを"ハンサム"とし、マリリン・モンローやエリザベス・テイラーを"チーズケーキ"としていた。
その俳優たちの中でマリリン・モンローしか名前を知らなかった私は、今でもマリリン・モンローを観るとそれを思い出すくらいに何故か印象に残った。

確かにマリリン・モンローのパブリックイメージに、甘ったるい色気というのは、一つあると思う。
ただ、甘ったるい色気と聡明さは反比例ではない。
そして一言で色気と言っても、色々なものがあると思う。
何かに真剣に打ち込む人の瞳に、透き通った群青色のような色気を見ることだってある。


『お熱いのがお好き』を観て、私の中でマリリン・モンローは"チーズケーキ"ではなくなった。
『イヴの総て』を観て、まだそこまで有名ではなかったであろう彼女を見つけて嬉しくなった。

だから今作を楽しみにしていた。


ショックな事があった時に、そっとしておいて欲しい人、一緒に悲しんだり怒ったりして欲しい人、ただ側にいて欲しい人、色々だと思う。
マリリン・モンローはそうなった時に、どうして欲しいと願うのだろうかと考えられずにはいられなかった。
彼女がこれを観て怒るなら一緒に怒りたいし、触れて欲しくないと思うならもうそっとしておきたい。もし笑い飛ばせるなら、それは彼女が圧倒的に人とは違う経験をしてきた中で得た強さであり護身術なのだと思う。
でも私の気持ちとしては、マリリン・モンローがこれを観なくて良かったと思った。

性暴力だけではなく、妊娠、流産、中絶のここまでチープでグロテスクで一方的な描写を初めて観たかもしれない。


フィクションならマリリン・モンローにしなくてよかったし、伝記映画ならチープ過ぎる。
そう思う。
むぅ

むぅ