むぅ

エデンより彼方にのむぅのレビュー・感想・評価

エデンより彼方に(2002年製作の映画)
4.2
なるほど。
メロドラマ、好きかもしれない。

勝手にその"メロ"は"メロメロ"が語源だと思っていた。全く違うと今日知った。
"メロ"はギリシア語の"メロス(歌)"に由来し、かつて通俗的な芝居がしばしば甘ったるい扇情的な音楽とともに上演されたことからこの名前があるらしく、一般に感情の起伏を誇張した感情的な恋愛劇を指すらしい。

昼ドラやベタなシチュエーションを盛り込んだものがメロドラマだと思っていた。

「私と麻雀どっちが大事なの?」
と叫んで泣きながら部室から走り去った友人がいた。
「何事?」
廊下で全力疾走の彼女とすれ違い、部室に着いたらどうやらそういう事であった。
「なんか、こう、涙が飛び散ってっていうか、少女漫画的な感じで走ってたけど追いかけなくていいの?」
麻雀を続けている彼に聞くと
「涙がそうやって、一直線に残るように走るには時速何キロで走ればいいんだろうねー、そうなんだったらもう絶対追いつかないわ」
「え、計算してみる?」
と麻雀軍団が盛り上がり出したのて、(コイツら!)とは思った。
私なりにその経験は、一種のメロドラマに位置付けている。

1950年代コネチカット州
一流企業の夫を持つキャシーは何不自由ない生活を送っていたが、ある日、夫の秘密を知ってしまう。そこから揺れ出す彼女の感情を美しい色彩と共に描く。

『キャロル』を観た時にも感じたのだが、この監督の描く"赤"が好きだな、と思う。
なんとも艶やかで少し暗い"赤"が心に刺さる。

人種差別、セクシャルマイノリティへの差別が描かれている。

エデンより彼方に、
永遠に輝く場所を見つめて

その言葉がとても素敵で、とても悲しかった。ずっとそこを見つめ続けている人がいるだろうし、見つめることをやめてしまった人もいるだろう。
きっとエデンは、探し求めるだけではなくて、みんなで創り上げないと永遠に手は届かないのではないか。
それぞれが思う美しい輝きのある場所を実現させるために出来ること。しっかり見つめながら歩まなくては、と思う。
むぅ

むぅ