きまぐれ熊

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

4.1
ループものとしてのギミックはとても良かった。テンポもよくサクサク進む。

特に前半における、ループに気づく2大システムは超いい。
上申システムは、解像度の高い脚本によって会社の人間関係のリアリティを描けている事がストーリーとめちゃめちゃマッチしてるし、地道な熱さとエモさも連れてくるので神システム。
上申方法の手段も練られてる。付き人的な先読みの気遣い→ピンポイントでピンチを救う→人生相談→ミーティングによるプレゼン会
と、ちゃんと信頼構築の仕方がスケール&ランクアップしていってるのもセンスある。

もう一つの目覚めのトリガーである鳩。ループに気が付かない原因を夢だと思って忘れちゃうってレギュレーションにしたのはありそうでなかった感じ。確かに社畜にはクリティカルなシステムかもと思える。中盤の伏線回収も鮮やか。上申システムとの対比も効いてる。


問題は後半で、
ラストに向けてやりたかった事は分かるし、オチの付け方もすごく好きなんだけど、ヒロインの心情変化がやや段階を飛ばした感覚がある。多分だけど、引き抜き先の職場を描かなかった方が良かったんじゃないかなぁ。
そういうドライな世界なのは分かってるはずのメンタルの主人公が、どのタイミングで心情が切り替わったのかを考えると違和感あった。主人公の憧れをエピソードで掘り下げられないんならドライな世界のデメリットを描く尺が勿体無い。それより社内の協力的関係のメリットや本人の内面的なとこを描いた方が良かったのでは。もしくは劇中なんの意味も持たされてなかった彼氏が気づきを与える役を担うのも地に足ついてたかもしれない。

映画の主役が、ループ現象を起こしている本人ではないっていうズラしは好き。
とはいえ結末まで含めると、物語において1番変化したのはループさせていたその人なので、実は物語としても主人公と言えるなっていうのがちゃんと面白いところ。
ポスクレ後のオチもそういえば伏線あったねって感じでギミック的なサービス精神が旺盛で楽しかった。
きまぐれ熊

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