きまぐれ熊

ローマの休日のきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
3.3
身分違いの、かつ1日だけの恋の映画だって事はなんとなく知ってたんだけど、映像の印象ほどラブラブしてなくてコメディとして見易かった。

展開がじんわりと進んでいく上、
恋よりもお姫様の1日だけのズル休みっていう側面が思ったより強かったので、どちらかといえばアン王女が主人公よりの物語。

ファンタジーなゲロ甘だったら辛いな〜と思い包み始めたんだけど、恋が始まる一歩手前で立ち止まって思い出にしたって感じのノスタルジーさがとても良い。
会社や学校をズル休みして、唐突に海に行ったら現地の異性と妙に仲良くなって楽しかった事をたまに思い出すのに似ている(存在しない記憶)。

超有名なバイクの2ケツシーン、実は、無免許で運転して接触事故を起こしまくりながら爆走するシーンなので意外とコメディとして振り切れてて面白かった。



以下は結末ネタバレ込みで物語の感想。



ロマンスやコメディパートはオードリーヘップバーンの圧倒的なかわいさのおかげで楽しいんだけど、物語としては結びの部分がいまいちぼんやりとしてる。
政務に耐えきれず尻を飛び出したアン王女を成り行きで拾った新聞記者ジョーは、立場を隠しながら王女の特ダネ記事を書くためにローマを巡るが、徐々に気持ちが傾いてきて...。
っていう話な訳だけど、
最終的にジョーは上司やカメラマンまで巻き込んだにも関わらず、政務をズル休みしている王女を立場を守るため記事を封印する事を選択する...

いや、記事は書け〜〜〜!!!
そこを上手い事書くのが記者の腕やろがい!

って思ってしまいました。すいません。

だって王女は思い出を胸に、仕事に対して覚悟を決め直したわけでしょ?
ところがジョーとしては何も変化してないんだよね。もともと金に執着してる人間が改心するってわけでもないので、ただ非日常を経験してただ戻っていくだけ。序盤は積極性が騒動を起こすのが面白かったのに、ただそれを手放しただけになってしまってる。
むしろ同僚のカメラマンの方が、素性の匂わせ方とか写真をあげる所とか素敵だったので、ジョーの締まらなさがより強調される。大した選択がないならアン女王が帰るシーンで終わった方が美しかったのにな〜。
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