きまぐれ熊

ゴジラのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
3.8
テーマがシンプルかつ骨太なので今見ても物語として面白い。

VSシリーズを見てた世代だけど、テーマ性で言えばシンゴジ、マイゴジが直系の後継作と言えそう。

日本の特撮ジャンルを確立した始祖的作品なのに、技術プレゼンじゃなくてあくまでストーリーを見せるための技術として特撮技法が扱われてるのが、ここまでの作品そのものの評価に繋がっているのかも。シンプルかつテーマが乗ってるストーリーなせいか記号的に観れるお陰で特撮の粗はあんまり気になんない。

音の演出がいい。シンプルに戦況説明を担うテーマ曲とゴジラの足音、そして有名な鳴き声だけで非日常を大体説明できちゃってるので頭を使わなくてもシナリオが入ってくるエンタメ性の高さ。
ゴジラが怖く見えるのは半分位は音響のおかげ。

戦後っていう時代背景を選んでるにも関わらず、
核とゴジラ、ゴジラとオキシジェンデストロイヤー、
という対比でただの巨大生物であるゴジラを、核や戦争の擬人化として見せているメタ的な構造は結構テクニカルだと思う。
戦時を思わせる集団疎開とか焼け野原などのシーンも戦後だからこそリアリティを持って再現できているのだと考えると、この時代にしか作れなかったんだなと感じさせられるので未だに評価されてるのも納得。
その象徴がお父ちゃんのところへ...と子供達を慰める母子の生々しさ。
脊髄反射的な反戦メッセージじゃなくて、兵器に対する人のあり方って所まで踏み込んでるので議題の普遍性も強い。というか敗戦後9年でここまで戦争を冷静に顧みられるってかなり冷静というかクールな視点だよなぁ。

ゴジラはミサイルを猫パンチしてる姿がかわいかったです。コバエみたいな感じ?
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