きまぐれ熊

グンダラ ライズ・オブ・ヒーローのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

3.8
インドネシア発のヒーローコミックスユニバースBCU(ブンゲラミット・シネマティック・ユニバース)の実写映画第一弾。
第二弾「スリ・アシィ」が公開開始との事で観てみた。

雷を浴びると肉体が超強化されるヒーロー。エンジニア的素養を持ってて、ぶっちゃけてしまえばmarvelBIG3をマッシュアップした1人BIG3的造形。
コスチュームはソーとキャップとフラッシュ辺りが混ざってる感じがする。赤いのがデアデビルとスパイディっぽさもあるし。あと意識してかどうか分からないけど主演俳優がエズラミラー似。
雷パワーも使えるんだけど、放電しちゃえばただの人間に戻るので基本的には格闘戦によるインファイトタイプなのでキャプテンアメリカっぽい感じ。だけどスタイルがカンフースタイルなので、MCUではあまり見ない痛みが凄い打撃戦が堪能できる。

ヴィラン陣営も本作は特徴的でかなり俗世的でマフィアやチンピラ集団で、現実的な社会権力を持った悪者と戦い続ける。スーパーパワーを持ってない相棒兼フィクサー的なポジションのキャラも議員っていう生々しい味付け。ファンタジックな悪者とか概念的な悪ではないのが好みが分かれそうなところ。ただ、終盤の要素を見るにMCUのキャップよろしく徐々に人外スーパーバトル化していきそうなのでその辺りのインフレ具合も今後の見所の一つかも。

2大コミックスでもストリートファイターはいるけど、パワープレイヤーが悪を懲らしめる的な構図ではなく抑圧されている側の反逆なのでインドネシアならではの社会観が反映されているのが独自性あって面白いところ。
コメディ要素もあるにはあるけど、アジア圏の逆って基本ドギツめなので笑っていいのか分からないシーンは国外の鑑賞者には多めに映る気がする。

ストーリーに関しては見せ方があまり整理されてなくて、ユニバースの布石を撒くために展開が散漫になってる印象も受けるけど、熱量を感じる分、伸び代を感じられるのでむしろ今後のラインナップでより盛り上がれるのでないかと思う。MCUだってアイアンマンが奇跡的に出来がいいだけでフェイズ1はめっちゃ荒削りだったし、成長型のヒーロー映画というコンテンツにおいてはポテンシャルさえ見せてくれれば、細部の精度はむしろ低い方が後々期待できるまである。
あと他のユニバースフランチャイズ同様に、ちゃんとサプライズ要素を盛り込む姿勢も見えるので連作として緩く気長に追ってくのが楽しそう。

評価がやたら低いけど、コンテンツに対する熱量は感じるしアクションの撮り方はしっかり楽しめるので、まだインフルエンサーに取り上げられてないだけでしょう。バズれば後から評価が付いてくるタイプの作品だと思う。
ユニバースとしてアメコミ映画にはない領域のヒーローを追求していってほしいですね。
このジャンルは多様化してなんぼなのでアメコミ以外のフランチャイズとして盛り上がってほしいです。和製が期待できない分頑張ってほしい。
きまぐれ熊

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