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透明人間と蠅男のbackpackerのレビュー・感想・評価

透明人間と蠅男(1957年製作の映画)
3.0
ーーー【あらすじ】ーーー
連続殺人起こる!
完全な密室や白昼の往来で起こる、姿なき殺人者の魔の手は、東京の人々を恐怖に陥れた!
警視庁捜査一課長の若林率いる捜査陣の懸命な捜査にも関わらず、犯人は杳として知れなかった。
唯一の手掛かりは、被害者達が小さな何かを見ていたことと、現場で耳にした蠅のような羽音のみである。

折しもその頃、若林刑事の幼少からの友人にして宇宙船開発研究者の月岡博士は、偶然の産物として、物質を不可視化する光線を発明する。
犯人逮捕に役立つと考える若林であったが、不可視化光線を可視化するには、未だ技術的問題があるため、月岡は使用を許可しない。
そんな中、連続殺人犯は不可視化光線の存在を聞きつけ、それを狙い始め……。
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1946年の『夜光る顔』から始まった"大映スリラー路線"に連なる、怪奇&SF&スリラーの空想科学特撮映画。
透明人間と蠅男の戦いと聞き、どんなものなのか恐々見に行ってみましたが、想像してた蠅男と違って仰天しました!
本作の通称蠅男は、旧日本陸軍が極秘に開発した「人体を縮小し、引力に干渉する薬」のアンプルを接種することで、極小化=ハエのように小さくなって空を飛ぶ、というトンデモ超人だったのです。
しかも、物語が佳境になるにつれて、大雑把でガバガバな展開になるもんですから、だんだんと救いようがないおアホっぷりをぶちかましてきます。
有楽町駅の線路が爆破されるミニチュア特撮は結構いい感じでしたが、このシーンのほんの数秒以外では、派手めなミニチュア特撮がなかったため、かえって物足りない気持ちに。腹いっぱいにしなくてもいいから、もう一口だけおくれよぉ。

マットペイントによる透明人間の合成特撮は、なかなかスムーズな仕上がりでよくできたもの。
首だけ宙に浮かんだ状態でバナナをほうばる助手の杉本君とか、シュールで笑える独特の空気がありました。

とはいえ、やはりクライマックスに展開される、蠅男(を操っていたボスにして二代目&真の蠅男)・楠木とのビル屋上での問答には、薄い緊迫感とまったく周到さのない展開に呆れ半分関心半分。
どつきあいが幾たびも繰り返された挙句、もんどりうって落っこちていきTHE ENDとは、つくづくどうしようもねぇやつらです。
しかるべき公的機関に不可視化光線の取り扱いを任せるなんて終わり方、よした方がいいですよ。国に任せたら、ろくなことになりゃしませんよ。

でも、1957年当時の皇居周辺の映像が見られたのは、かなーりの収穫でしたね。皇居ランに連れまわされてみた光景も、伊今ならまた違って見えそうです。
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