ヨーク

Pearl パールのヨークのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
3.7
年に数回やっちゃうんだが、しょっちゅう映画を観ながら寝ている俺でも、流石にそれは酷いだろ…と思ってしまうことがあってそれが何かというと映画館の席に座った瞬間、まだ予告編すら流れていないときに爆睡してしまうという、これね、お前マジで何しに金払ってここ来たの? っていうことが極稀にあるんだけど今回はそれでしたね。暑かったからね。暑い中とことこ歩いて疲れてたんでしょうね。もう座った途端にスヤァzzzでしたね。
そんで目が覚めたら何かミア・ゴス演じる主人公(?)のパールちゃん(?)がお母さんとめっちゃ喧嘩してんの。多分30分くらいはがっつり寝てたと思うな。そんな感じなのでまぁぶっちゃけこの感想文は参考にしないでいただきたいくらいではあります。あ、そうだ、今思い出したけどなんか麦畑? かなんかで案山子と疑似セックスみたいなのしてたな。そこはぼんやりと観ていた気がする。なんでそんなことしてたのかサッパリ分からんが。
まぁそんな感じでいつもにも増して適当な感じで観ていたわけだがそれでもあらすじとか大まかなストーリーというものは分かる。クソ田舎の農場で生まれ育ったミア・ゴスが「こんな家畜のクソしかないような場所は嫌だ! 都会に出て映画の中の世界みたいに華々しい生活を送るんだ!」と思ってオーディションに参加するんだけど、カトリックを信仰する厳格な母親や若い女なら何でも口説くような軽薄な男や自分が持っていないものをすべて持っている親戚の女との関係によって、全ての歯車が徐々に狂っていって彼女はどんどんと後戻りできない狂気の世界に進んでいくのである…という感じでしょ。最初の30~40分くらい観てないけど大体合ってるでしょ?
ちゃんと観てないくせに言うのも何だけど、まぁぶっちゃけ大したお話じゃないよね。前作『X エックス』も田舎に来た大学生くらいの集団が狂ったジジババに殺されていくという映画でお話自体はどうでもいい感じだったが本作でもそこはそのままだと思う。ちなみにミア・ゴス演じる主人公が前作のババァの若い頃らしい。『X エックス』の方もエロいシーンと登場人物の死に様くらいしか覚えてないからそう言われても、あぁそうなんですか…くらいの気持ちなんだけど、シリーズものでいうなら物語の原点を描くエピソード0的なお話なんですね、今回の『パール』は。
だから何をおいても重要なのがまずはミア・ゴス演じるパールちゃんのキャラクターや描写なんだけど、これは正直かなり良かったと思う。もっとも、第一次大戦がどうのこうのと言っていたから本作の舞台は多分1910年代後半だと思うんだが、それくらいの時期だとアメリカの映画産業というのは創成期もいいところでまだハリウッドに夢を見るような若者ってほとんどいなかったんじゃないの? っていう気はする。百歩譲って耳聡い都会の若者ならともかくクソ田舎の女の子が銀幕の世界に憧れるってのは設定的にどうなったんだろうなとは思いましたよ。上で案山子と疑似セックスみたいなのしてたって書いたけど、そのシーンなんかは『オズの魔法使』を彷彿とさせるけど、ジュディ・ガーランドが主演を務めたかの有名な作品は1938年のものなので20年ほども開きがある。だからそこは違和感あったなぁ。でもまぁ半分寝ながら観てたし、そういう細かい部分はどうでもいいやとさえ思えればパールちゃんのキャラクターはミア・ゴスの怪演含めて凄く良かったですよ。あ、もうコイツ殺す、ってなったときの雰囲気の変わり方とか素晴らしかったな。あと自己憐憫に塗れてて他人への共感が一切なく、自分が客観的にどう見えているかということにも無頓着なところとかもいい。その辺は素直に面白かったなぁ。
あとは肝心の殺しのシーンですよね。先日の『ゴールデン・エイティーズ』の感想文ではジャンル映画としてのミュージカルの面白さが全然なくてダメって書いたけど、本作は安っぽいB級(とは言ってもA24製作なのでガチの低予算ホラーではない)ホラー映画である殺人シーンがちゃんと面白く撮られていて素晴らしかったですね。俺が寝ていた前半部分は知らんが、多分キル数自体はそんなに多くなかったと思うんだけど一つ一つの殺人シーンが中々良くて、うぉぉ、結構ちゃんと肉体をバラバラにするなぁ! とか、ちょっとセンチメンタルな感じで死体と寄り添っているカットとか、そういうのは素直に面白かったですね。
なのでまぁちゃんと観ていないけど面白い映画でした。多分前作よりも面白いんじゃないかなと思うけど、なにぶんちゃんと観ていないのでスコアは同じにしておこう。でもちゃんと見比べたらやっぱ本作の方が面白いなってなると思いますけどね、多分。
相当信用できない感想文だけどまぁ全体的に褒めてるからいいだろう。文句を言おうと思ったらそれはそれでいっぱい出てくるけど、ちゃんと観てないからな! だから文句の方はあんま書かないでおこう! ちなみにお話としてはアメリカのクソ田舎のカトリック家族というものがかなり核心にあるんだけど、俺がA24に求めている家族モノっていうのはこういうのなんだよ、と改めて思い直しましたね。『ホエール』とか『アフターサン』とか予告編だけで観る気しねぇ~! って思ったもん。おっと、睡眠鑑賞どころか観もしていない映画の悪口を書きそうになってしまった。ま、実際観たら結構面白いのかもしれんけど、俺は本作くらいの家族の描き方が好きですね。
その家族へのまなざしを含め、ミア・ゴスは確かにいい仕事してました。面白かった。
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