TV番組「アンビリバボー」の特番でこの事件を扱っており、その想像も付かないトンデモ真相・・同時に当事者たちの想いがとても気になっていたので、Netflixの本ドキュメンタリーを見つけて迷わず鑑賞。

2009～2012年に名門ノートルダム大のアメリカンフットボールチームの名プレイヤーとして大活躍し、ハインズマン・トロフィー（MVP）最終候補にまで残ったマンティ・テオ選手に起こった大スキャンダルの真相に迫った秀作。

自分もそうだが日本では残念ながらアメフトがそこまで浸透していないので、米国ではメディアが騒ぎ立てたとされる本事件を知ってる日本人は少ないかもしれない。

また、本作の冒頭からマンティ・テオ本人はもちろん、事件を起こした張本人であるロナイヤ・トゥイアイソソも登場し、実際に前編・後編を通してほぼこの二人の回想インタビューで構成されているのでネタバレにはならないと思うし、こういった良作のドキュメンタリーはより多くの人々にも鑑賞していただきたいと思うので、毎度のように長くなってはしまうが、まずは事件のあらましから・・。

ハワイ出身で信仰深い一家で育ったマンティは高校時代のアメフト選手としての活躍ぶりが認められ、全米の多くの名門校からスカウトが殺到。その中から神のお導きと考えカトリック系のノールダム大学を選び進学。一年生から大活躍でそれまで低迷していたかつての古豪チームの希望の星となる。

一方、マンティと同じサモア系のロナイヤ。高校時代まではアメフトのクォーターバックを務めるなど、体格も逞しく見た目は典型的な体育系男子でありながらも自分の性的嗜好とのギャップに日々悩みを抱えていた。

そんなロナイヤは、高校時代の同級生でとにかく人気があったサモアの血を引く美人同級生のSNSの写真を勝手に使い、“リネイ・ケクーア”という架空の女性を創造し、接触してくる魅力的な男性たちとやり取りを行い、最後に向こうが「直接会いたい」と言ってきたら一方的に連絡を絶つという行動の繰り返しで現実逃避を図っていた。

そんな彼＝彼女がSNSでブラウズしていたときに目に飛び込んで来たのが同じサモア系で男らしくイケメンなマンティ。友達申請をしたところ向こうも承諾。最初は簡単な挨拶だけを交わすような間柄。でも、常に優しい言葉を掛けてくれるマンティに次第に惹かれ、真剣な恋心を抱くようになってしまう。

一方のマンティも、日々アメフトに打ち込む生活の中で自分を励ましてくれ、（かつてロナイヤ自身もアメフトをしていたことから）時にはプレーに対してアドバイスまでしてくれる“美しく”同じサモアの血を引く女性への想いが募っていく。

カレッジフットボールで活躍し続けた彼は、四年時時にはノートルダム大学を代表する名選手となり全米も注目の大スター。「どうしても会いたい」というマンティの要望に流石にヤバイと思ったロナイヤは、“リネイの従兄”としてマンティに連絡をし「リネイは白血病で亡くなった」と告げてしまう。

奇しくも同じ日に祖母を亡くしたばかりのマンティは二重の悲しみで大きなショックを受け、また、同時に彼女に勝利を捧げるために自分に渇を入れこれまで以上にアメフトに打ち込む。すると、なんとその年のノートルダム大のアメフトチームはレギュラーシーズン無敗で決勝進出。インタビューでも度々“亡き恋人”への想いを語り、マスコミも美談として大きく取り上げる事態となる。

ハインズマン・トロフィーの最終候補にまで残ったマンティはNFL（プロフェッショナルリーグ）のドラフト1位の大注目株。

そんな中、全社員9名の小さなスポーツブログ専門サイトへ「マンティの恋人エピソードは全部嘘…」とのタレコミ情報が入る。徹底的調査がされた挙げ句、マンティにとっては人生を左右するほど重要なドラフト会議の直前に告発され、全米を騒がす大スキャンダルに発展してしまう・・・。

やはりもの凄い長文になってしまった。自分は要約する能力が欠けているとつくづく思う。

このドキュメンタリーでは、前述した通り、マンティと今ではトランスジェンダーとして生きる道を選び“ナヤ”と改名したロナイヤが当時の心境を、少なくとも自分が抱いた印象では偽りなく語っているので、「アンビリバボー」では大悪人的な扱いで終っていたロナイヤの“初めて心から愛せる相手に出会えた。このまま離れたくない”という心情にも一人の人間として共感できる。また一方で、騙された挙げ句にゲイ疑惑まで掛けられ明らかにドラフトに悪影響を与えられたマンティにも大いに同情する。

野性味溢れるイケメンのカレッジフットボールのスター選手がSNSでしか連絡を取っておらず一度も実際には会った事もない相手を恋人とする流れが「アンビリバボー」では気になった点だが、実はマンティが昨日鑑賞したばかりの「異端者の家」の宣教者たちの宗派「末日聖徒イエス・キリスト教会」の熱心な信者であった事実から、多少の女遊びこそあったであろうが、結果的にロナイヤにまんまと騙されてしまったナイーヴさがある事にも納得出来る。

また、電話では何度も話している二人。どんなに声色を変えてもさすがに男の声だと気付かないのはおかしいと思うが、ロナイヤが電話で使っていた裏声？は、実際に流れる音声メモを聴いてもおそらく誰もが若い女性の声と間違える事必至。

何よりも本作が問題提起しているのは、ESPNやNYタイムズといったビッグメディアが事実確認もせずに美談となる情報はそのまま発信し、更にはいざゴシップが起これば手のひらを返すように被害者を叩いた行為。世界で最も真のジャーナリズムが存在しうる国として認識されているアメリカのメディア界への信頼を揺るがす警鐘としては、ある意味、とても重要な事件であったと思える。

また、前編と後編の冒頭に「この作品の製作時にはインタビューを受ける人物たちは、ロナイヤが実はトランスジェンダーであった事実は知らされていません」と注意書きが出るのも当事者の人権配慮としては非常に重要な点で、流石はNetflixのドキュメンタリーといった感。

実際に、ロナイヤが直接マンティに会って謝罪したかどうかは語られない。

ただ、今はプロ生活も終えたマンティが穏やかな表情で最後に語る言葉一つ一つの重みが心に沁みる。

もちろん、ロナイヤのなりすまし行為自体、さらには一度マンティの前から消えた後に取った行動を卑劣だと捉える人もいるだろうし、マンティが“恋人”の死をハインズマン・トロフィー受賞やドラフトの好材料として多少は利用したのだろうと思う人もいるだろう。

ただ、実際に鑑賞した後に「こんな作品はくだらん！」と一刀両断できるのは、よほどのホモフォビアかドナルド・トランプくらいではなかろうか？

機会があれば是非ご覧いただきたい、個人的に良質で考えさせられた真摯に作られたドキュメンタリー作品。

これはなかなか興味深かった。
観終わったあと、マンティ・テオ頑張れ！の気持ちでいっぱいです。

心に残ったのは
君は相手を許した？
許した。
じゃあ君は自分を許した？
のくだり。

自分を疑うことで自信がなくなる
それは生きていくうえで苦しいことだし、なにも信じられないということ。
自分が信じたいことすら。
私も自分のおかした失敗を許せてないのかもなぁ〜って少し思った。
まずはそこからか。












しかしマンティ・テオ全然悪くないのに、、
純情で紳士なだけだったのに。
というか非難されるならパーソナルなことを勝手に大々的に取り上げて大きな事にしたマスコミなのでは？とも思ったり。
そしてこの報道を面白おかしく受け止める人って想像力ないのかもって思った。
自分だったら絶対わかるって自信を持ってるのかもしれないけど、ほんとにそうかな？
(会わないうちに最愛の恋人とか思っちゃうのは若いね〜って思ったし、会ってないの後ろめたくて会ったことあるって嘘ついたのもバカだね〜とは思ったけど笑)

捏造に関わっていたなら問題はあるけど騙されていただけなのに、
彼の選手としての実力とは関係ないのにあんな感じになるってなんか腑に落ちない。

どのチームも彼がゲイかどうかがいちばん気になるんだ、
っておいおい、そんなことで選ぶんかい！って思っちゃった(本気か知らないけど)。

テオは未だ苦しんでるのに、
ロナイアがいい感じに吹っ切れて見えてちょっとモヤったのは内緒(主観です、そう見せてるだけかもしれないし、テオ寄りの映像のつくりだったのかもしれないし)

アメフトの名門ノートルダム大学で活躍し、NFL選手となったマンタイ・テオ。だが前途洋々だった彼の人生とキャリアに、ネットで知り合った恋人の秘密が暗い影を落とす。
2009年の時点では、ネット上で自分を偽って“なりすまし”を行う人たちを指す一般的な用語は存在しなかった。

マツコ・デラックスがネカマ一本釣りで釣ったのは大物でした。しかも聖人君子。

ドキュメンタリーの着地点はLGBTQ？
事の発端となった彼にはサモア(ポリネシア)の第3の性を匂わせ、被害者のテオには有名人の有名税の辛さを語らせてEND。
あっちいったりこっちいったり言いたいことがぼやけがち。とはいえ、起きた出来事に関して言えば「どうしてこうなった」に尽きる。現実でもこんなことが起きるんだな。