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M3GAN/ミーガンのNeCoのネタバレレビュー・内容・結末

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

程良く映画は見ていたんですが、長らくレビュー投稿に至らず、、
本作品、あまりにも衝撃的であったので、衝動のままに書き殴ります

王道ホラーの緊迫感とか血みどろスプラッタで視覚的、共感覚的に怖いというジャンルとはまた違う、個人的には新感覚な怖さだった
スリラーよりだが、本能に訴えてくるような不気味さもあって、良い意味で終始不快な2時間だった
アナベルでも散々思い知らされたが、何より音の使い方、緩急がうまい
序盤の導入、恐怖演出がない場面でも、映像の切り替えや音の出し方で常に警戒心が駆り立てられてた

不意に自分の生活に他人が入り込んでくることで、乱されるもどかしさは痛いほどわかる
しかし、唯一無二の人間の担うべきである役割、人と人の関わり合いをおざなりにした結果が悲劇を齎す

何故、本作品にこんなにも恐怖を抱いたのだろう
それは近代社会のAI発達によって、可能性を全否定できないからだと思う
また、人間は動物的には非力である
それを知恵やテクノロジーを駆使して、他の動物を支配下に置くことで、安全かつ傲慢な生活を成り立たせているのだ
その人間の叡智、テクノロジー自体が牙を向いたらどうなるか
素晴らしいことに、人間では発揮できないような爆発的な力に強靭なボディ、極めつけには知識の集大成を保持しているAIには、どう足掻いても勝ち目がない
人間が作り出したもので、人間が破滅するという何ともアイロニーな展開は、ありがちとは思うが、社会への問題提起としても十二分であった
何より映画を観たあとから深読み考察が止まらなくなる
普段、何気なく使っていた電化製品全てにミーガンの息吹を感じるようで、捉え方次第では下手なPOVホラーよりも余程現実に入り込んでくる

終わり方も非常に良かった
ミーガンが存在し続ける手段は、クラウド上、家庭用AIアシスタントなど、様々に考えられるし、これは続編も期待して良いのではないか
最も不気味であったのは、暴行の場面より、常に見られているという恐怖感の演出、学習によって得られる合理的判断、(ここの部分は、犬のような走り方で少年を追い詰めたりなど、隣人の飼い犬との関わりからなんらインスピレーションを受けているように感じ、愚直で寒気がした)、少女の心すら操ろうとする自我の芽生えであった
心の拠り所をロボットに求めた少女に呼応するように成長を続けるミーガンが、最終的に完璧な自我を持ち、「ユーザー」としての立場を獲得しようとする流れは中々であった
挙げたらキリはないが、兎にも角にも心理描写、無機質物から感じる独特な悍ましさをこれほどまでに表現できることに驚いた

ところでエンドロール後、ミーガンがライトオンと口にしたら劇場の照明が戻ってくる、みたいな演出があったら劇中の恐怖感を体験できて中々に粋なのでは?と思ったのですが、どうでしょう
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