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バグダッド・カフェのNeCoのネタバレレビュー・内容・結末

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

同時双方型で二人の主人公を立てる映画なのですが、両者の対比や関係性の構築が非常に魅力的な描かれ方をしているなと
激烈とするシーンがあるわけでもなく、ただ映えることのない平坦な日常が続くわけだが、こういうのでいいんだ、こういうのがいいんだって鑑賞中に何度も感じたな

外部からの刺激を邪険にしてしまう感覚はわからんでもないが、時としてそれは家族間での亀裂や変わり映えのない日常に微細な歯車として組み込まれ、徐々に改善の糸口や新たな可能性を提示してくれる

ブレンダはカフェの経営難や家族関係の悪さから常に苛立ちを隠せず、怒号を響かせるさまは煩わしさの具現とも言える
ジャスミンという女が現れたことにより、当初はその不可解な立ち振る舞いから彼女をヘイトの矛先とするが、打ち解けていくことでブレンダの経営する「バグダッド・カフェ」は地元で愛されるマジックショーのカフェとなっていく
しかしドイツから来ていたジャスミンはビザの関係で帰国を余儀なくされる
改めてカフェに訪れた彼女を迎えたブレンダとマジックを心待ちにしていた客たち、またビザの問題を解決するという理由で不器用な結婚を申し込む老人
前半の煩わしささえ乗り切れば、起伏はないがとても微笑ましく暖かさを感じる作品となっている

Brenda,Brendaでは自然に体が揺れるようで、あぁ、こんなカフェあったら通ってしまうだろうなという羨望と実際に相容ることのできない虚しさまで感じてしまった
鑑賞後からはCalling Youを聴くたびに、この作品に想いを馳せることとなる

これは是非円盤を購入したく思う
私的にはかなりお気に入りな作品
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