タケオ

ゴジラ-1.0のタケオのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.5
-3パターンのみの演技で構成されたヘッポコ人間ドラマに苦笑『ゴジラ-1.0』(23年)-

 山崎貴は「いかなる俳優からも大根演技を引き出すことができる」という類い稀なる才能の持ち主だ。「一体どんなディレクションをすればこんなに酷い演技を引き出すことができるのだろうか?」と、毎度のように感心させられる。そんな彼の類い稀なる才能は、本作でも遺憾なく発揮されている。
 本作に出演している俳優には、どれだけ多く見積もったとしてもせいぜい3パターン程度しか演技のレパートリーがない。わめくか、震えるか、それとも状況を説明するかだ。ゴジラが暴れ、誰かがわめき、誰かが震え、そして誰かがその状況を台詞で説明する。ひたすらこの繰り返し。そこに感動'気'なBGMがドジャ~ン。浅はかにもほどがある。原点の『ゴジラ』(54年)に立ち返り、ゴジラを「核と戦争の象徴」として描くことで「反戦」というテーマを力強く打ち出そうとする姿勢には好感が持てたが、肝心の人間ドラマがこうもヘッポコでは感動などあったものではない。ゴジラの重量感はなかなか見応えがあるが、吹けば飛ぶような人間ドラマの救いがたいほどの軽さは目に余る。いっそのこと感動'気'な美談'風'のドラマパートなど全部カットして、わめくか震えるか状況を説明するかしか脳がない大根役者たちをひたすらゴジラが蹂躙するだけの映画にしたほうがよかったのではないだうか。そのほうがスッキリ爽やかな作品に仕上がったと思うのだが・・・。
 一方で、底抜けコメディ映画としてはなかなか目を見張るものがあった。とくにラスト、偽善と欺瞞とご都合主義を限界まで煮しめたかのような仰天展開には腹が捩れるほど爆笑した。いや、まじでバカなんじゃねぇの?
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