-熱意や創意工夫を欠いた、ただひたすらに退屈な映画『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.2』(22年)-
成仏できない幽霊たちをあの世に送り返す特殊組織「R.I.P.D」の活躍を描いたアクション・コメディ『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』(13年)のプリクエル。1876年のアメリカ西部を舞台に、前作でジェフ・ブリッジスが演じたエージェント・ロイの若き日の活躍を描く。
とにかく退屈な作品である。「一体なぜ続編を作ろうと思ったのか?」と疑問に思う作品は数あれど、ここまで熱意を感じさせない作品も逆に珍しい。たとえば近々の作品では『47RONIN-ザ・ブレイド-』(22年)など、低予算ながらも製作陣の「こういう映画がつくりたい!」という熱意が伝わってくるモノもいくつかあったが、本作にはそれがない。「こういう映画がつくりたい!」というビジョンらしいものがまるで見受けられないのだ。グダグタとした鈍重な脚本、もっさりとしたアクション、まるで魅力のないキャラクター、ショボいCG、あまりにも中途半端なユーモアなどなど、一体何を面白がればいいのかサッパリわからない。物語中盤、主人公の相棒となるキャラクターの'意外な正体'が明らかになるくだりも、「・・・で?」───という感想しか出てこない。製作陣はこれで観客が感心するとでも本気で思っているのだろうか?だとしたら、さすがにナメているとしか言いようがない。
スタジオ側の「ダークホースコミックから高額で映画化権を購入した以上、なんとかして元を取りたい」という思惑もわからなくはないが、ここまで熱意や創意工夫を欠いた映画を発表してしまっては恥の上塗りというものだろう。そもそも「R.I.P.D」とは幽霊を成仏させるための組織ではなかったか?やる気のない企画なら静かに成仏させてあげるべきだ。