CureTochan

破局のCureTochanのレビュー・感想・評価

破局(1961年製作の映画)
3.7
諸兄のレビューを拝見して、さっそく娘と鑑賞。冒頭、主人公と彼が歩いていく町並みを完璧にとらえた、よく動くカメラが素晴らしく、ウィリー・ロニの白黒写真を思い出した。主役であり監督のエテックスという人は出身がグラフィックデザイナーで、絵心があるのだ。フランス語でxは読まれないことが多いが、この名前の最後のXは発音するようだ。

以下ちょっとネタバレ

この序盤の最後の、クルマが出てくるカットのように、ギャグとしては滑ってる部分もあるが、全体にはよくできているし当時としては画期的だった部分も多そう。起こることは喜劇的なんだけど、主人公は真剣でありフラストレーションが溜まっていく。なのでプロットは終始、「フォーリング・ダウン」的である。実際、手紙を送ってきた方の女の立場に立ってみると、この話の結末は非常にシンプルに解釈されるだろう。ドタバタはコロンバインの銃乱射事件みたいなもので、自殺行為の一部なのである。Ruptureつまりルプチュールというのは文字通り恋人と離別するという意味らしいが、本当に完全に別れるという意味なのかはよくわからない。英語のruptureは物体の破裂という意味で遣われることが多く、人間関係ではrupture and repairのように一時的な決裂を意味することもある。彼女は修復不可能な別れを告げたのか、それともただの喧嘩なのか気になる。

ただ単にドタバタの締めくくりとして、あのラストになっただけかもしれないが。
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