CureTochan

ミッション:インポッシブル3のCureTochanのレビュー・感想・評価

3.6
公開前、シアターで観た予告編はたいへん魅力的だった。橋の上かなんかで爆発が起こって、トム・クルーズが横に飛ばされる。めっちゃカッコええやんけ!となって観に行ったら、まぁまぁの出来だった。この橋のシーンが映画全体のベストショットだったのだ。本作あたりからトム・クルーズが制作に口を出せば出すほど、物語としての豊かさが減っていくという傾向が見える。

リビングで娘と観始めたら、冒頭からトムクル得意のインテンスな芝居が始まるんだけど、人質を取られ、尋問を受けているこのシーンはフラストレーションがたまる。これを最初に持ってきたのって、単に演技を見てもらいたかっただけ?と邪推してしまう。

なぜなら、そのあと新婚生活の日常シーンがちっともキュンキュンしないから。お前らもう結婚しろ(結婚してる)ってなりたいのに、芝居の押し引きもなくニヤニヤしてるだけのトムクルのせい・・だけではないにしても、嫁さんとの愛に満ちた蜜月が全然そう見えない。娘が、もういいって言うので再生を止めた。
(^_^;) 仲間の救出シーンから戻って、嫁さんと会話するあたりだった。

Tom Cruise cannot act、つまりトム・クルーズは大根だと言ったのはマイク・リーとかいう監督だったが、そこには①本人でいることしかできない、トムクルにしか見えない、ということと、②その本人の挙動も変、という2つの困難がある。①だけであれば、シュワちゃんとかピアース・ブロスナンのように同じ役しか期待されないスターってのはいる。なんならロバート・ダウニー・Jrだって彼自身を演じているだけに見えるが、それが魅力的であるし、グウィネス・パルトロウ扮するペパーポッツとのやりとりはキュンキュンするのである。それが芝居というもの。佐藤健と萌音ちゃんしかり。そこがしっかりあれば、ラストシーンだってもっと泣けるはず。

ところでラビットフットという「マクガフィン」が出てくるんだけど、この映画で一番面白いのは、このマクガフィンが本当に純正のマクガフィンであることかもしれない。それでも映画は成立するんだな、という変な感慨を覚える。西洋でラビットフットというのは文字通りウサギの足で、罠にかかったけど足が切り取られて命が助かった、つまり幸運のお守りなのである。紐とかつけて持ち歩くらしい。ウサギといえばパテで、バゲットに塗って食う。慣れるまでキモい。
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