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摩天楼はバラ色にのCureTochanのレビュー・感想・評価

摩天楼はバラ色に(1986年製作の映画)
3.8
フライデーナイトに娘と、ものすごく久しぶりに再鑑賞した。80年代後半、BTTFでスターになったマイケルJフォックスを見せるために作られたラブコメであり、もちろん大ヒットしたし、日本人にもよくわかるシンプルな話だから面白かった。タイトルの「摩天楼」という言葉は、しかし当時としても若者のボキャブラリーの範囲外だった気がする。

コメディ映画というのは、基本的に英語がわからない場合は、半分も理解できないと考えて間違いないが、本作はドリフのコント的で易しい。だが、アメリカ人の(中年の)旺盛な性欲とか、性行為の映画における扱いなど、ニッポンの若者にはピンとこないポイントが多くて面食らった記憶がある。この性欲のくだりは少々長く、フォックスの芝居が楽しめるわけでもないのでビールがないと退屈である。あと昔の日本人もそうだが、今の若い人でも、会社の中で勝手な行動をする主人公を苦々しい目で見るかもしれない(#反省会とかいって・・)。

実際、昔は若者に元気があったんだと思う。主人公は有能である以前に、自信に満ちていて、フォックスは完璧なキャスティングである。たとえばトム・ホランドだと内省的すぎてぴったりこない。だから本作の見どころは主役に尽きるが、駄作だった「スーパーガール」を一人で支えていたヒロインの女優も素晴らしい。横顔のキレイな割に正面は黙ってるとキツイ顔だが、笑うと可憐でキュンキュンする。首から肩の骨格も素晴らしい。脚はよくわからない。あと見るからに気のいい低学歴の同僚もよかった。大富豪のオバちゃんも。多少テンポの悪い演出を彼らがカバーしている。本国でも大ヒットしたのに、ロッテントマトの点数は低くて、今の感覚で観るとアメリカ人的にはダサいセリフが多いのかもしれないが、幸い我々にはわからない。

あとは音楽。何が起こっても、すぐYAMAHA DX7みたいなエレピが流れだす。80年代には、音楽にメインストリームというものがあった。BTTFもヒューイ・ルイスでノリノリだったけど、本作も完全に当時の音の垂れ流し。ナイトレンジャーによる主題歌は、デヴィッド・フォスターが作って、サビの部分はおそらくマイケル・ランドウによるクリーンギターが後ろで鳴っている(ナイトレンジャーには二人もギタリストがいるのに)。この歌とイメージがダブっているのが、同じ1987年のスタローンの映画「オーバー・ザ・トップ」の主題歌で、同じようにプロ作曲家が作ってロックシンガーが歌うというパターンだった。サミー・ヘイガーの「Winner takes it all」という曲だが、こっちはバンドメイトのエディヴァンヘイレンがベースを弾いている。

「成功の秘密は・・毎日、25時間生きていることさ」という歌詞がもう時代。
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