CureTochan

それでもボクはやってないのCureTochanのレビュー・感想・評価

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
-
神経症というか、先端恐怖症的な心理から、かならず悪いことが起こるホラー映画を観ることができない。あと子供が殺されそうなシーンがあるだけで、その時点でシアターから出てしまう(※アメリカン・スナイパー)。同じように、冤罪を描いたと思われる本作も、知ってはいるけど観る気にならない。普段から、冤罪ほど怖いものはないと思っているので、その意味では観る必要もない気がする。この監督の映画が優秀なのは、観て知っている。

司法というシステムにとっての冤罪は、医者にとっての誤診と同じではない。冤罪はより孤独である(そもそも冤罪の起こったことは意識されないし、加害者であるシステムは罪を問われず、罰もない)。それ以降だけでなく、そこまでの人生の価値にも影響する。医者に会う前から患者には病気があるのに対し、冤罪は隕石が当たるようにランダムに起こる。医者がいなくても病気はあるし、人は必ず死ぬが、司法システムがなかったら冤罪は起こらない。だから医療ミスよりも、医者が故意に人を殺す状況に近い感じがする。実際、ひたすら吊るすべき犯人を求め、弁護士を悪者扱いするのが民衆である。

「“当たり前”のことを、あえてここまで判決文に記したのは、有罪率が99%を超える日本の刑事裁判において、「推定無罪」「疑わしきは被告人の利益に」という“当たり前”の原則が形骸化しているからではないだろうか。」

という文章をニュースで見たので本作を思い出した。
CureTochan

CureTochan