久し振りのジブリ…というか宮崎駿監督作を劇場で観るのは初めてやも!そして、ネタバレになるので詳しいことは書かずに歯切れの悪いレビューになることをお許しくださいm(_ _)m
いやぁ…これは宮崎駿監督作!
あらすじは(『白雪姫』+『フラッシュ』)『パンズ・ラビリンス』…的な感じです。
【アニメがあったから】
今作の主人公の眞人は冒頭からとんでもない喪失を味わいます。そして、心の整理もつかないまま父親(こいつが見栄っ張りで粗暴、短絡的で幼稚な男なんです)のせいで慣れない土地、馴染みの浅い家庭に一方的な放り込まれさらに心が疲弊してしまう中、彼の周りに不思議な出来事が起こり始め不思議な人々と出会い、彼はその不思議に目を向け行動をし始めます。
私は前述した"不思議な出来事、人々との出会い"こそがアニメのメタファーだと考えております。眞人が物語の終着で何か実物で持ち帰ったことをほとんどないのにも関わらず、この不思議を通して彼の内面は確実に成長します。
私達もアニメ(ないしは映画)を観たあと決して現実が変化することはなくても、元気になって「よし、踏ん張ろう!」と気持ちを新たにすることなんてよくあるじゃないですか。眞人のように。
アニメは現実を変えてはくれませんが、現実の見方を変えてくれるのです。
前作の『風立ちぬ』では戦闘機を作ることをアニメを作ることのメタファーとして、とてもドライ且つ批判的にそして、自嘲気味に描いていた宮崎監督でしたが、今作はアニメを作る自分を受け入れ許してあげたのではないでしょうか。そう思うと個人的には今作と『風立ちぬ』はある意味セットかもですね。
確実に宮崎駿監督作で救われている方はいますからね。
「じゃあな、友達。」
そうですよ、私は宮崎駿監督作から沢山の友達を作ることができました(アシタカは友達じゃない、決して)。おかげで今も踏ん張って生きております。
【最後に】
1度観れば「こりゃ、確実に宮崎駿監督作だ」と誰しもが実感することが出来る今作。
名作アニメを作り続けながら、アニメを作ることへの葛藤を抱えていた天才が自分に優しくなったからこそ、個人的には優しく潔い作品だと思います。
あと今年度のオスカーの"エンドロールを観て「え!誰がどれ?!」となったで賞"は確実に獲るでしょう。