前作『スパイダーマン:スパイダーバース』が大好きな我が娘バル子(仮名/4歳)、今作の予告を観てから「観に行く!」鼻息荒く話していました。私も私で彼女が今作を楽しめるよう予告の全パターンを見せ、日本語吹き替え版の主題歌を聴かせてテンションを上げまくって臨みました!
というわけで今回のレビューは《バル子と私の映画日誌〜あ、これじゃ ダメなんでーす〜》となります!
いやぁ…はよ、続きを!
あらすじはマルチバースだよ!全員、集合!ただしマイルス、おめーはダメだ。…的な感じです。
【バル子、現実を知る】
この日を通してバル子はわがままと駄々を繰り返し、映画鑑賞自体が危ぶまれておりました。道路で走り出す、スーパーで駆け回る、思う通りにならないと不貞腐れる…ということで我が家のミゲル・オハラこと妻が「もうこれ以上怒られるようなことがあれば、映画行かない。そして、今のところポップコーンとジュースは買えない。」と宣言。
そこからバル子は挽回しようと奮起する…と思いきや怒られないギリギリのラインを攻めるように比較的悠々自適な生活態度を見せ、その結果が
ポップコーンは無し!
まさか本当にポップコーンを禁じられるとは思っていなかったようで映画館のロビーで「本当に?」目を丸くしていたバル子。まあ、温情でジュースは買ってもらっておりました。
【バル子、首を傾げる】
まるで美術館を見て回っているかのような多彩なタッチで描かれるスパイダーマンの世界、特にグウェンの世界はまるで水彩画のような淡いタッチに登場人物の感情によって背景や髪の色が変わります。
この表現がバル子的にはわからなかったようでことあるごとに「なんでグウェンの髪の毛が青になったの?」「なんで後ろの壁溶けてるの?」と聞いてきました。
そこで「グウェンの髪の色が変わるのは気持ちがすれ違い冷たくなっていることを表しているために青色になったんだよ。また後ろの壁が溶けているように見えるのはグウェンの固く凍てついた心が溶け出して本音を吐露するということを間接的に示唆しているんだ。ただ、これはパパから観た考察であってバル子が先程のシーンをどのように感じたかが重要なんだよ、だからバル子はどう観たんだい?」と聞くほど私は空気が読めない男ではないので「本当だねぇ!」とお茶を濁しておきました。
しかしながら、疑問に感じるということはそれだけよく今作を観ているということでもあるので質問を受ける度に心で拍手をしておりました。いいぞ、バル子。
【バル子ムズムズ】
身に迫る危険を察知することのできるスパイダーセンス…メイおばさん曰くピータームズムズばりに怖そうなシーンが近づくと「パパのお膝座る…」と抱きついてきたバル子。
予告での敵役のスポットの手が縦横無尽に出現する幻視シーンを楽しみにしていた彼女ですが、流石に大スクリーンだと圧倒されたようです。また、今作の上映時間がアメリカ合衆国のスタジオが制作したアニメーション映画としては史上最長の140分だったのでバル子も集中力を欠く姿が散見されムズムズ私の膝の上で蠢いていました。
そして、その様子をギラリと見ていた我が家のミゲル・オハラ。
【正論+論破】
劇場が明るくなった途端先程の様子に鋭い視線を向けていた妻が口を開き…
「バル子、今後は映画館で映画を観るならパパの膝に乗るのはやめなさい。そして、パパもバル子がきちんと集中力が持つような作品を責任を持って選んでください。」
…と、とんでもない正論をぶっ込んできました!もう、私もバル子もただただ頷き「はい」と受け入れるしかなかったですよ!論ずる前に論破されましたよ!
これぞ正論破イダーマン!
【妻vsバルバワ】
速攻で論破されたとは言え、映画の感想は譲れないのが私!
妻はアニメとしての完成度には感激しつつも所狭しと画面にひしめくスパイダーマンをフリー素材のように感じて「じゃあ何でもアリじゃん」と真剣に観る気が若干薄れたと言っておりました。なんだかんだスパイダーマンに思い入れがあった妻としては山程出てくるのは有り難みがなかったみたいです。
これに対して私は山程スパイダーマンを出すことは画面上の面白さを担保しつつもマイルズの孤独感を際立たせる効果があり、尚且つこの山程いるスパイダーマンが受け入れてきた運命を「クソ喰らえだぜ!」と中指を立て自身のスパイダーマンとしての異質な出自込みで今までにないスパイダーマンになろうという姿勢が、今作の作り手の過去は踏襲しつつも全く新しいアニメを作るという気概と重なっているのではないかという感想を伝えると「なるほどね」と納得してくれました。
これは私の勝ち…か?うん、勝った!!
【予想】
前作がマイルズがスパイダーマンとして誕生する物語でもあり、彼の師匠であるピーター・B・パーカーが大人として成長しきりもう一度ヒーローになる物語でもありました。
今作はマイルズがスパイダーマンとしてのアイデンティティや宿命に葛藤する物語でもあり、彼の親友のグウェンが葛藤を乗り越えヒーローとして完成する物語でした。
つまり、マイルズの物語を語りつつも彼を支える周りの人物がヒーローとして成長しきる物語を語ってきたこのシリーズだったのです。
次作はマイルズが真のヒーローになる物語になるのではないでしょうか。
【最後に】
何気、娘と父親の話であり最後のグウェンと父親のシーンなんてずっと泣いていたのですが「パパ、おしっこ」の一言。泣きながら前屈みでダッシュしてバル子をトイレに運びましたよ…涙は見られてはないよな?
まあ、確かにミゲル・オハ…妻が言う通りに次作は映画館で観ることは厳しいとは思います、今は。
バル子は観る気満々なので今作の円盤が発売されたら一緒に観て、ミゲルの許可が出る程このシリーズが好きになって欲しいものですね。