バルバワ

カード・カウンターのバルバワのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
4.3

"本日は我が娘バル子(仮名/4歳)を保育園に送り迎えするという条件付きで映画を鑑賞することを許された本日、私は3本映画を観るという選択をした些かスケジュールがハード目な許されタンとなりました。"

…溜まりに溜まったレビュー書き出し期間ということで上記の文章を書いたのが6月という遅筆っぷり。しかも映画館たくさん足を運んで作品渋滞しているのならまだしもあんまり足を運んでいないのにこの体たらく!だらしないことこの上なしッッ!


いやぁ、これが現実だぁ!

あらすじは過去や憎しみに囚われている男たちは前を向けるのか!?…的な感じです。

【目が離せない】
主人公のウィリアムはホテルの一室をまるごと梱包する様子から察するに明らかに心に支障をきたしドス黒い闇を抱えている人物であり、過去にとんでもないことがあったのであろうことは容易に想像が出来ます。物語はゆったりと進んでいるからこそいつ彼の抱えた闇が爆発するかハラハラして仕方なかったです。

あと前述したゆったりとした物語が結構丁寧に描かれており、登場人物も実在感があるので退屈せずに観ることが出来たりします。

【他者に助けになるということ】
ウィリアムは過去しでかしたことに対して大変な罪の意識を持っており、そのせいで心が病んでいます。そして、同じように心に闇を抱えた自暴自棄な青年カークと出会い彼を厚生させようとすることを自身の贖罪とします。しかし、厚生をカークが望んでいるかは別問題でこのすれ違いが後々大きな事態を招きます。

ウィリアムがカークを厚生させようとしていたこと自体は決して悪いことではないとは思いますが、ウィリアムはカークの話や希望を聞こうとせずに「うっせえ!厚生じゃ厚生!」と無理強いしてしまうことが問題なのです。

ウィリアムは他人(カーク)を変えようとすることが自分を変え、自分を救おうとしています。
でも他人は変えることは出来ませんし、変えるのであればまず自分が変わるべきなのです。

そして、本当に誰かを救いたいのであればまずその人の話に耳を傾け、思いに寄り添うことは絶対ですし、だからこそ対話を重ねたリンダとは良い関係を築くことが出来たのだと思います。


【最後に】
作中、奇跡のようなことはほとんど起こらず、人間を決して美化することはない、観客である我々は彼らの選択や人生に全く触れることは出来ないということを再認識するようなドライなストーリーテリングが堪らなかったですね。

そして、エンドロールが素晴らしい!他者とはこういうものと俯瞰しつつも、それでも寄り添うことは出来るという希望めいた明るさを称えており、私は好きでした!

ブラック・ジャックというゲームがわからんちんな私ですが、楽しめましたよー!
バルバワ

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