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刑事ジョン・ルーサー: フォール ン・サンのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『刑事ジョン・ルーサー フォールン・サン』
原題 Luther: The Fallen Sun.
製作年 2023年。上映時間 130分。
イドリス・エルバが型破りな敏腕刑事を演じるイギリスの人気テレビドラマ『刑事ジョン・ルーサー』シリーズ(U-NEXTとアマプラでドラマ版はみれますよ)を映画化。
アンディ・サーキスがルーサーと対峙する連続殺人犯を演じ、シンシア・エリボが共演。
余談ながらイドリス・エルバとアンディ・サーキスは、ともに『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で、それぞれヘイムダルとユリシーズ・クラウ役で出演してる。

今作品はNetflixで2023年3月10日から配信。

鋭い洞察力と優れた捜査能力を持つロンドン警察署の刑事ジョン・ルーサーは、凶悪犯の精神状態や行動をプロファイルすることで難事件を次々と解決してきた。
その一方で犯人逮捕のためには違法捜査も辞さない彼は、ある事件で犯人を誤って死なせてしまい、刑務所に収監される。
そこでとある連続殺人事件について知った彼は、その犯人がかつて自分が捕え損ねた男であることに気づく。
ルーサーは男の凶行を止めるべく脱獄し、自身も警察に追われながらも捜査を進めていくが。。。

BBCの大ヒット犯罪ドラマ『ルーサー』のシリーズ5から4年かな、BBC FilmsとNetflixは、イドリス・エルバは冷酷な刑事を長編で熱演していた。
ルーサーは、誘拐事件と複数の殺人事件の捜査にあたる。
それは、正義のためにあらゆる種類の汚職警官として投獄される前の話。
ルーサーは新任の警視と手を組み、殺人事件の続発を阻止するために獄中から脱獄する方法を見つけなければならない。
どないする!!ジョン・ルーサーてな感じて展開。
イドリス・エルバ、アンディ・サーキス、シンシア・エリボの3人は、主要トリオとして最高の演技を披露していた。
エリボは、プレッシャーのかかる重大および連続犯罪ユニットの現在の責任者として、個人的な問題を抱えつつも、あらゆる困難を乗り越えて一人の男を裁こうとする姿をうまく演じてた。
エルバはいつものように(ドラマ版を見てる方なら)、陰気で白髪の熊のような男として重厚感をもたらし、狡猾さと暴力性を同居させ、他の人々が平和に暮らせるように法を破り、人々の利益のために自分を犠牲にする。
サーキスは金髪であっても、洗練されたシンプルな、まるでハンニバルのレクターのような冷静さで骨身を凍らせることに成功し、21世紀における英国最高の俳優の一人であることを証明してた。小さなスクリーンのシリーズから続編の映画に移行することは、長所と短所があるが、シリーズを知らなくても、基本的なことはほぼ理解できると思います。
ファンサービスとも云える、なくてもいいような場面が1つか2つあり、普通のファンも同じように満足したとは思う(個人的には大満足)。
また、脚本家のニール・クロスには、『007 スカイフォール』を意識したような、映画的なアイデアも提供されています。
ロンドンの地下鉄で徒歩のチェイスがあり、第3幕の舞台は人里離れた大きな屋敷で、主人公と相棒がヘリコプターで掃射されながら運転して向かう様子が映し出される。
ボンドを思い浮かべてしまうなぁドナいしても。
BBCらしい少し耽美的やけど十二分に楽しかった。
オリジナル・シリーズの強力なアップスケールで、良いヒーローとゾクゾクするような悪役が登場し、ドラマシリーズを見てなくてもついていけるはず。
ベテランTVディレクターで今作品の監督も務めたジェイミー・ペインが、より大きな予算で、より大きく映画的なストーリー要素を盛り込みながらも、どこかTVエピソードのように感じられるような演出を行なってた。
ストーリーは、あまり押しつけがましくなく、ダークで堕落したストーリーにもかかわらず、かなり安全策をとってると云えるかな。
シリーズ4が4エピソードしかないことを考えると、今作品は最小限の調整だけで簡単に半分に分けることができたはず。
誰も損をすることはなかったやろう。
さらに、作中のある瞬間が意味をなさない。
何年も凍結されていたように見える死体たちが登場するが、これは筋書きや事件解決との関連性は極めて低く、ルーサーが物語の悪の首謀者を追跡できるようにするために、いくつかの場面が作為的、強制的に作られたように感じられた。
エルバの刑務所でのシーンは、いくつかのアクションシーンを除けば、プロットにはあまり関係なく、悪役が独房内で複雑な方法で彼に接触することで、最終的に彼を追跡して捕まえることになる。
まぁ、駆け足でそのシークエンスは流れた。
個人的にはプリズンブレイクモノは嫌いではないし。
もちろん、すべての悪の犯罪者は、彼らの性格の欠点を直接指摘することによって間違いを犯させることができ、彼らを激怒させ、それによって短い格闘を通じて主人公を脱出させることができる。
これは、ベテランの天才作家、ニール・クロスでさえも陥らずにはいられない法則と云えるかな。個人的には今作品は楽しいシークエンスもあるし、演技もいいし、シリーズを見ていなくても楽しさに影響はないし、単体作品としても十分面白い作品でした。
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