このレビューはネタバレを含みます
●かわぐちかいじ作品が好きな者として、観ない選択肢はない映画なので、映画館で鑑賞。
●見終わった後の率直な感想としては、自衛隊や防衛省協力の下でかわぐちかいじ作品がリアルな3D映像で描かれていることへの感動がある一方で、2時間という時間の短さ故に、原作の奥深さが描かれ切らずに、ややファンタジー的な映画に多くの人に映ってしまったんじゃないか、と感じた。
●かわぐちかいじと言えば、徹底した現場取材を通じたリアルさの追求がウリの1つだと感じているが、本作は、おそらく初見の人にとっては唐突の連続だったんじゃなかろうか(例えば、なぜ急にシーバットが独立国ヤマトを宣言するのか、など)
●続編があるのか定かではないらしいが、今後のヤマトと日本国の関係、さらには米国をはじめとする諸外国との緊張も含めて、これは続きを描き切らないと、流石に物足りない一作に終わってしまうんじゃなかろうか。
●本作に限っていえば、やはり海江田の心中について、(あえてexplicitに描いていないのだろうが、)もう少し丁寧に描写する方が良かった気がする。それによって、ヤマト建国までの一連のストーリーの裏にある彼なりの正義感や大志についてが伝わり、観客者がもっと入り込めたと感じる。要するに、核抑止力とは一体何なのだろうか、ということが1つのテーマなはず。
●かなり難しい役どころである海江田を、不気味かつ無骨な男として見事に演じ切っている大沢たかおの演技力は流石といったところ。