最近の映画記録、TIFFの5日目にみた「Totem」のこと。
ワールド・フォーカスの一本で、メキシコ映画。ベルリンのエキュメニカル賞を取った作品。
「20000種のハチ」(ミツバチと私)と似たような空気感だが、終わり方が今ひとつパッとしない。
舞台はメキシコシティ。7歳の少女ソルは母と共に、別居している父の実家に向かう。その日は父の誕生日パーティ、という冒頭。
状況説明のためのシーンはなく、描写の中で段々と分かってくる。どうやら父は末期がんで化学療法中。
ソルは父と会いたいが、中々会わせてもらえない。
子供は可哀想なのだが、同時に観客には父の体調は化学療法でそれどころではないと見せられる。
やがて実家に、父の親族たちが集まってきて…という展開。特にドラマ中心のプロットがある訳ではなく、親族のホームパーティのやりとりが見せられ、彼らの関係が段々と見えてくる。
子供の描写は良いし面白くない映画ではないが、最後の最後で映画っぽくなった「20000種のハチ」と比べると物足りない。
ラストは投げっぱなしで、いかにもベルリンの受賞作である。
カマキリやカタツムリといった生物のショットも、意味もメタファーもない感じだった。(「アートカレッジ 1994」の、冒頭2カット目のカブトムシの長回しが大変素晴らしいショットだったのと対照的だと思った)
あと、劇中で「電気式人工喉頭(EL)」が使われていて(祖父が使用)、ちょっと新しい。ELの使い方はコメディ的な面もあって大変良かった。