けめこ

リバイスForward 仮面ライダーライブ&エビル&デモンズのけめこのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃいい話だなと思ったらやっぱり毛利さん脚本だった…!謎が解かれたときそこに切なさが来るのが毛利さん脚本なんですよ…難解すぎず物足りなすぎない塩梅、かつ過剰なエモでも無味乾燥でもないこの…この塩梅ですよ…。ツンデレバディものは近作では「死神遣いの事件帖」がありますけど(ダイマ)、今回もその話運び、ワードチョイスが遺憾なく発揮されてましたわ…。

この子が治してくれたのか…!!!って愛おしさが高まると同時に、市村博士が黒幕であることに気づいてしまう、この切なさ!!!!だってヒロミは、市村博士が治してくれたと思ってて、感謝も尊敬もしていたはず。その人が黒幕だと知ってしまう、残酷な事実の開示。でもそれと同時に、この少女が自分の命の恩人、という愛おしさ、絶対に自分が守らねばという使命感の高まりがもう…。知りたくなかった黒幕の事実と、知るはずがなかったけれど知れてよかった命の恩人のこと、それが同時に来るこの謎解きの鮮やかさと、言葉にならないヒロミの感情が迸ってて。
ヒロミは、その80歳のおじいちゃんは自分だ、と告げられないんですよね。それが自分だと明かしてしまったら、この少女にも敵の全容を説明する羽目になる、自分とどうつながるのか説明しなくちゃいけなくなる。少女は、悪い奴らに囚われていたけど、役に立つこともあった、とそれを救いのように語っていたから、その80歳のおじいちゃんは、決して自分のような、科学の犠牲となって実験体にされた人間などであってはいけない。少女には、自分が若返らせたおじいちゃんがどこかで元気に暮らしている、と思っていてほしい。ここで元気にしているよ、ありがとう、役に立っていたのは本当だよ、と伝えたいけれどそうするわけにもいかない、そのヒロミの言葉にできないたくさんの愛情が、あの無言の抱擁に込められてあふれていて…。

テレビ本編では悪魔って結局なんなの?設定ガバガバすぎなんですけど?って言われてたけど、もうこの単発作品では開き直って「悪魔=自分の分身」ってしちゃったのが逆に功を奏しましたね。1年間迷走して屁理屈をこねくり回した先の、到達点の部分だけ切り出した形だから、ストレスなく、というかむしろめちゃくちゃ楽しめた。
もう一人の自分とは、表面的にはケンカしても奥底の方で信じ合えてる。そしてその対比としてのクローンは、姿は同じだけど全く分かり合えない敵。4人の主人公だけど実際は3対1の構図で、タイトルが「エビル&ライブ&デモンズ」の意味がここで効いてくる。「もう1人の自分」という言葉の示す意味が、大二とヒロミでぜんぜん違ってて、その対比でより大二とヒロミ、大二とカゲロウの信頼感が際立って、とても良かった…。

リバイスドライバーでの変身シーン、ラインの画面にも笑ったけど、カゲロウが下半身細くなってオバケみたいに漂ってるのが面白すぎたwwwwwどんなにかっこつけてもあれは無理でしょwwwww
あとバトルシーンのあと、留美ちゃんを受け渡して労いあう大二とヒロミに、カゲロウ絶対嫉妬してたよね!?愛され次男は上司と悪魔で取り合いになる…なんかこう書くと別ジャンルの何かが始まりそうですがwそれぐらい信頼関係の深さが描かれてて良かったって話です!

しかしミュータントに「お前は究極の生命体だ、本物を乗っ取れ」って言ってブルーバード壊滅させようとするの、博士なかなかにエグいですな…。
トランザムザ、というネーミングもなんか不穏な感じするなと思ってたんですよね、カフカの「変身」じゃないですか。変身を意味するトランスと、その主人公の名前であるザムザ。人間ではないものになる、を暗示してたんですよね…。
染井もムラマサもメンバーのことなんとも思ってなかったあたり、自分のことだけしか考えてないんだろうし、これもまた自分のことがいちばん後回しになるヒロミとは真逆なんですよね。

あのラーメン屋でのシーン。見てるときは「風麺のマスター!!!助けてくれた!!!」ってただただ感動してたけど、そういえばWのVシネも2号ライダーが…というか、あの森の奥のペンション事件で助けてくれた(リバイスtheMystery)照井が!美女と逃げてましたねえ!!!え、おっちゃん、「仮面ライダーが女の子と逃げている…これは訳アリのやつ!」って察して逃がしてくれたのかな!?!?リバイスは何かとWと縁が深いですね。

傷が治った!って確認するときのヒロミさん、指先でこわごわ頬に触れようとしてて可愛かった。
そして小松準弥という俳優の演じ分けよ…。Dear GAGA見てないけど、普段の使命感溢れるヒロミ、記憶喪失のヒロミ、そしてムラマサ、完全に別人だった。これはルミちゃん気づきますわ。ムラマサの、パッと見ではわからないけど少し気をつけて見ればすぐわかる、くらいの不自然さ。ただ無機質なだけでなく、底知れなさ、わからないから恐ろしいというような雰囲気も纏っていて。
最初に囮から解放されたときは、強引に部下からリーダーの身柄を奪ったり通信機もむしり取ったりしてて、正義感が暴走すると部下にもキツく当たっちゃうような人だったっけ?ってちょっとおかしいなと思ってたんですよね。そういうことか~~~。

大二もどんどん大人になりますね、カゲロウが背伸びして演技してる感じじゃなくて本当に馴染んできている。最後の遊園地で、女子3人がスイーツ買って食べてるのをヒロミと二人で見守るシーンの表情がすごく良かった…!留美ちゃんの力は失われたけど、でもこれでいいんですよね、と、取り戻せないものに対して喪失感を滲ませつつも、それでも彼女が幸せならそれでいいというヒロミから伝播した思いで自然と笑顔になれてしまう、そんなほろ苦さと寂しさが混じった笑顔。

悪魔の設定周りのごたごたとか、頭お花畑な家族観とかがなく、ただただツンデレバディと分かり合えない敵、というテーマに絞って、本来のリバイス成分がかなり薄まってるところに、ヒロミが守りたい少女の話入れたら、これはもうリバイスじゃないんですよ。本編あんまり乗れなかった勢だけど逆に今作はめちゃくちゃ楽しめました。家族の話ないとこんなにもすっきりするのね。

個人的にアツかったのは田淵分隊長ですね!!!あのヒロミ同期回のあと、田淵分隊長はフェニックスやめて民間の警備会社とかで働いてそう、って妄想してたんですが、ほぼそれやんけ!!!前線に出るのかっこよかったです!!!
あとはもう坂本組と言っていいリマちゃんもよかったし、染井役の伊万里有ですよ…ほんとにリバイスから2.5次元俳優の起用増えた。たぶん坂本さん、いや東映全体の流れとして、アクションができる俳優でアクションを撮りたい、ってのがあると思います。.5界隈でも殺陣のある舞台(刀剣乱舞とか!)が多い人ばっかり呼んでるのでたぶんそう(狩崎パパとかはアクション関係なかったが)。刀剣乱舞で推しキャラを演じてるので今回も期待して行きましたが期待通り!迫力あってよかったです。

久しぶりに見るリバイスのライダーはやっぱりやかましいですね!ギーツを見慣れた目には、色もパーツも多い!敵がシンプルだったので画面全てうるさすぎ、とはならなかったけどでもやっぱりボリュームある!
けめこ

けめこ