けめこ

仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキングのけめこのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

大智くんに大切に育てられて嫁に出されたい人生だった…
なにあれもう。大智くん、娘を嫁に出すお父さんじゃん。そして最後は、不幸にも娘は亡くなってしまったけれど、その忘れ形見を大切に育てようとするおじいちゃんやん…。

これがきっとVシネじゃなかったら、お母さんが瀕死のときに大智くんが来て治してくれたのかもしれない。
でも、「お母さんが死ななかったので覚醒回避できました」じゃ甘いんだよね。
そうじゃなくて、「お母さんの死」という悲劇そのものは回避できなかった、過去の出来事は変えられなかったけど、「英寿が信じた道長の言葉によって」覚醒回避しました、ってところにこの作品のメッセージがある。
復讐のために戦っていたあの道長が、皆が幸せになれる世界を信じて、復讐を止めさせて、どんな不幸があったとしても自分が幸せになることを諦めるなって語るなんて…変わったねえ…!!

道長の復讐だけでなくて、景和の世界平和もとい身近な平和、祢音の本当の愛、そして英寿のお母さんへの気持ち、本編で彼らが乗り越えたこと全部の要素がリフレインされて、それぞれの向き合い方を見て、ああ大人になったんだな…Vシネだなあ…!って感動した…。
奇跡の力を宿した女性が利用されるために狙われる、も同じか。他人を利用しようとする業というものの深さを感じる。

大智くんの教育方針は、世界樹から取り込んだ記憶を元にしてるんだろうな。大智くん自身は愛を知っているわけじゃなさそうな他人事っぽい言い方だったけど、愛そのものを知らなくても、それがどれだけ幸せで素晴らしいものかは知っているんだよね。まさしく研究者らしい態度。
対象から一歩引いた態度でありながらその大切さをわかっている、これが大智くんの推しポイントなんですよね…必ずしも自らが体験せずとも、学者らしく的確に情報を取り入れるフラットな態度で、先入観や偏見なく評価することができるところ。

「悪意そのものではなく、悪意を他人に向け増幅させるやつが悪い」という悠也節も存分に堪能しましたね…
最初から悪意に染まっている人ってのは、実はそんなに多くない。でもゼロではなくて、周りに悪意を撒き散らすやつってのは確実に存在して。そいつのせいで周りの人がどんどん悪意の応酬に巻き込まれていくんだけど、元をたどれば全てはたった1つの悪意から始まってた、みたいな。

そう考えると、悪意の元凶たるキングを、大智くんが破棄処分してれば良かったんじゃないかってことにもなるんだけど…。だって人間側にも化けて入り込んで、人間側の悪意も扇動しつつ、クイーンの悪意も育てようとしたわけでしょ。たちが悪すぎる。
でも大智くんの気持ちもわかるよ。だって手塩にかけて育てたジャマトだもん。しかも、ジャマトにだって教育を施せる、教え学ばせることによってジャマトは変われる、ってのが大智くんの研究でしょ。まだ彼の可能性を信じてたんだと思う。そしてなにより、大智くん自身が、幸せとは何かを学ぶことによって180°変われた人なんだもん…。

団地にアマゾンズフィルターかかってる?って思ってたけど実質アマゾンズだった。人間社会に隠れ棲む異形。
違うのは、人間が先に異形に悪意を向けたのではなく、ジャマト自身が悪意を大きくしようとしていたことか…。
やっぱり種族を問わず、最初に悪意を向け、他人の心に悪意の種を蒔くやつがいちばん悪い。

てか大智くんの研究によって、地球が植物に覆われる未来変えられませんかね!?ゴッド覚醒を阻止するだけでなく、そもそも地球が植物に侵略されない未来!!
まあでも、地球が植物に侵略されなかったとしても、この世界なら、人間が思念体になる未来はいずれにせよやってきそうな気がする。

未来の英寿があんなにスれちゃったの切ねえよ…何があったらそうなるんだよ…。1000年も神様やってると、人間の醜さばかり目についてああなっちゃうのかねえ。つまり1000年間人類はしょうもないことしかしてないってこと…成長してないんだろうなあ、人類…。
けめこ

けめこ