小

さらば、わが愛/覇王別姫 4Kの小のレビュー・感想・評価

3.9
全く予備知識がなかったものの、評価が高いというだけで鑑賞。レスリー・チャン演じる女形の程蝶衣(チェン・ディエイー)の切なさを、美しい演技、映像が一層引き立て、観る者に「感情の絆」が生まれてしまう作品かな。

主人公の人生を描いた、最近トイレが近いオジサン的には長い172分。お客さんは女性が多めですかね。

遊女の母親に捨てられ、京劇の養成所に入れられた主人公の小豆子(幼名、以下幼名で書きます)。彼をかばい、つらい修行の助けとなる石頭。

狭い世界で、こんな状況で大人になったら、男とか女とか関係なく石頭に依存してしまうだろう感が長尺らしく丁寧に描かれ、つかみはオッケー。

やがて二人は大人になり、京劇界の大スターに。しかし、普通の男として成長した石頭は、彼なしでは生きていけない感満点の小豆子の気持ちなどわかるはずもなく、普通の男として普通に振る舞う。

そりゃそうだろうと思う半面、小豆子に同化するよう誘導された観客は、小豆子の純愛に激しく共感する。それ故、圧倒的美しさの虞美人(小豆子)と項羽(石頭)の別れを描いた演目、「覇王別姫」を演じる小豆子にグッくる、のかもしれない。

思いが届かないばかりか、時代に振り回され、スターになってからもひどい目に合う小豆子。石頭もアレコレあり、二人のアレコレが丁寧に描かれるから、オチは読めても小豆子が最後の最後で思いを遂げたのかもしれない感にグッとくる、のかもしれない。

眉につばすることも鼻白むこともなく、小豆子の気持ちに寄り添えるというのが、本作が名作であり、人気のある理由ですかね。
小